なぜ高専卒は社会で強いのか?卒業生が語る、5年間で得られる本当の価値

はじめに

「高専って、レポートが地獄のように大変らしい…」
「専門的な勉強ばかりで、普通の高校生みたいな青春は送れないのかな?」
高専に興味を持つ一方で、そんな不安や疑問を抱いている中学生や保護者の方も多いのではないでしょうか。確かに、高専生活は楽なことばかりではありません。
 しかし、在学中には「しんどい」と感じていたことの多くが、卒業して社会に出てから「かけがえのない時間だった」と気づくのです。

この記事では、高専を卒業して社会人となった私の視点から、在学中には気づきにくい高専の本当の魅力について、5つのポイントにまとめて詳しく解説します。

魅力1:自主性が身につく授業と先生との関係

高専の授業や先生との関係性は、中学校までとは大きく異なります。この独特な環境こそが、社会で生き抜くために不可欠な「自主性」を育んでくれるのです。

「教えてもらう」から「自ら学ぶ」へのシフト

高専の先生の多くは、教員免許を持つ「先生」である以前に、特定の分野を深く探求する「研究者」です。そのため、中学校のように手取り足取り教えてくれることは稀です。「わからないなら、自分で調べなさい」というスタンスが基本なのです。

15歳から始まる「自己学習」という最強スキル

授業についていくためには、教科書を読み込み、友人や先輩に聞き、それでもわからなければ先生の研究室のドアを叩く、といった「自己学習」が必須になります。この「自分で調べて解決する力(独学力)」は、社会人になってから最も求められるスキルの一つです。15歳という早い段階からこのスキルを当たり前のように体得できることは、高専ならではの非常に貴重な経験と言えます。

魅力2:地獄のレポート課題が育む「社会で役立つ力」

「高専といえばレポート」と言われるほど、特に実験レポートの量は膨大です。しかし、あの地獄のような日々こそが、社会で即戦力となる実践的なスキルを鍛え上げてくれていました。

スケジュール管理能力と「やりきり力」

次から次へと課されるレポートや課題、そして定期テスト。これらを乗り切るためには、おのずと効率的なスケジュール管理能力が身につきます。
どんなに困難な状況でも期限内に一定のクオリティで成果物を提出する力、いわゆる「やりきる力」は、どんな仕事においても絶大な信頼に繋がります。

再提出の嵐は、実は先生からの「愛」だった

高専のレポートは、グラフの書き方一つ、誤字脱字一つで容赦なく「再提出」を命じられます。。。
今になって思えば、あれは先生からの「愛」でした。学生のうちから、細部までこだわり、質の高いアウトプットを追求する姿勢を厳しく指導してもらえたことは、本当にありがたい経験だったと感じています。この経験は大学進学、そして就職後も活かすことができるスキルです。

魅力3:「青春」は恋愛だけじゃない!熱中できる課外活動

高専における「青春」の形は1つではありません。恋愛だけでなく、一生ものの仲間と出会い、何かに熱中できる多様な機会が溢れています。

部活・ロボコン…先輩から技術と精神を学ぶ

一般的な部活動はもちろん、高専ならではのロボコンやプロコン(プログラミングコンテスト)、高専大会といった大会は、まさに青春の舞台です。

特に、4つも年上の大人のような先輩から、専門技術だけでなく、人としての考え方や立ち居振る舞いを学べる機会は、他では決して得られません。また、運動部の部活動における先輩方と勝利に向かって努力した日々は輝かしい思い出になるでしょう。

「自分から動く」ことの価値

高専生活の満足度は、「自分から動いたかどうか」で大きく変わります。待っているだけでは何も始まりません。しかし、勇気を出して行動を起こした者だけが得られる経験と成長は、計り知れないほど大きいのです。

魅力4:想像以上だった「就職・進学」の強さと選択肢の広さ

高専が就職や進学に強いことは有名ですが、その本当の価値は、卒業して社会に出てからさらに強く実感します。大学に進学して感じたことは、実験や研究に関する基礎知識やレポートなどの文章を書く力が内部の学生に比べて大きな差があると感じました。
多くの教授の方々から「高専はやはり素晴らしい」との言葉を頂いています。

企業からの注目度の高さ

卒業後、様々な企業の方と話す機会がありますが、「高専卒」というだけで非常に高く評価されていることを実感します。社会は高専教育で培われる専門知識と実践力、そして自主性を正しく理解し、求めてくれているのです。

専門分野に縛られない「無限大」のキャリアパス

高専で学んだからといって、その道一本に進む必要は全くありません。5年間という長い時間、受験に追われることなく自分の興味を追求できる高専だからこそ、専門性を持ちながらも、視野を狭めることなく、無限の可能性の中から自分の道を選択できるのです。

魅力5:卒業後に真価を発揮する「高専卒」という最強の繋がり

最後の魅力は、卒業してからその真価がわかる「高専ネットワーク」です。全国に51校しかない特殊な環境で5年間を過ごした者同士には、目に見えない強い絆が存在します。

初対面でも仲間になれる「高専アイデンティティ」

社会に出て、初対面の人と話している時に「実は私も高専卒なんです」という一言で、一瞬にして場の空気が和み、意気投合することがよくあります。「高専あるある」で盛り上がれる仲間意識は、他に代えがたいものです。

実際私が編入した大学は、同じ学科に高専からの編入生が9人もいたため、自分の高専の話しや高専あるあるの話題ですぐ打ち解けられました。共通の話題で初対面でも打ち解けられるのは高専ならではのものだと思います。

縦と横に広がる卒業生ネットワーク

この繋がりは、仕事やプライベートにおいて、大きな助けとなることがあります。学生のうちから、部活動や大会などを通して、他の高専の学生と積極的に交流し、横の繋がりを広げておくことも、将来の自分に役立つこともあるでしょう。
就職活動や進学時に先輩のアドバイスが役立つこと間違いなしです!

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まとめ:高専は「自分次第」で最高の学校になる

社会人になって振り返ると、高専は本当に素晴らしい教育システムを持った学校だと感じます。
高専が与えてくれる「自由」をどう活かすか。厳しい課題にどう向き合うか。全ては「自分次第」です。
今、高専を目指している皆さんは、ぜひオープンキャンパスなどでその雰囲気を肌で感じてみてください。そして、今まさに高専で学んでいる皆さんは、目の前のレポートやテストの大変さが、未来の自分を創るための大切な試練だと信じて、歯を食いしばって頑張り抜いてほしいと思います。

【Q&A】高専生活に関するよくある質問

Q1. 勉強についていけるか不安です。

A1. 不安に思うのは当然です。高専の授業は進度が速く専門的なので、全員が「自己学習」で補っています。大切なのは、わからないことを放置しないこと。すぐに友人に聞いたり、先生に質問に行ったりする習慣をつければ大丈夫です。

Q2. レポートが大変だと聞きますが、両立は可能ですか?

A2. 可能です。多くの高専生が、膨大なレポートをこなしながら、部活動やアルバイトも両立させています。鍵となるのは「効率化」と「スケジュール管理」です。完璧を目指すのではなく、優先順位をつけてうまく手を抜く術を身につけることも、高専生活で学べる大切なスキルの一つです。

Q3. 高専は男子が多くて、女子は楽しめないイメージがあります。

A3. そんなことはありません。確かに男子学生の比率が高いですが、近年は女子学生(リケジョ)も増えており、女子学生向けの寮や設備も充実してきています。また、この記事で紹介したように、高専の「青春」は多様です。性別に関係なく、ロボコンや部活動など、同じ目標に向かって熱中できる仲間ときっと出会えるはずです。

ライター情報

仙台高専マテリアル環境コースを卒業。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしていました。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。

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