
「なんとなく」で大丈夫?先輩が語るリアルな学科選び体験談
はじめに少し私の体験談を書かせていただきます。
実は、私自身も中学3年生の時、強い意志があって学科を選んだわけではありませんでした。むしろ、「なんとなく」の連続だったと言っても過言ではありません。でも、その「なんとなく」の中に、後から思えば大切なヒントが隠されていました。
きっかけは「社会の役に立ちたい」という漠然とした思い
私が高専を意識し始めたきっかけは、東日本大震災でした。被災地で生活する中で、電気のありがたみや、建物の重要性を肌で感じ、「何か人の役に立つ、社会の基盤を支えるような勉強がしたい」と漠然と考えるようになりました。
皆さんの心の中にも、そうした漠然とした「好き」や「気になる」があるのではないでしょうか。まずはその気持ちを大切にしてください。
決め手はオープンキャンパスでの「面白い!」という直感
最終的に高専進学を決め、その中で特定の学科を選んだ決め手は、オープンキャンパスでの体験でした。
いくつかの高校も見学しましたが、正直あまり面白さを感じられませんでした。しかし、高専のオープンキャンパスは違いました。体験授業で実際に機械に触れたり、専門的な実験を見たりする中で、純粋に「何だか面白そう!」と感じたのです。
ステップ1:まずは各学科のイメージを掴もう!主要5学科の特徴
「なんとなく」も大事ですが、やはり最低限の情報は必要です。ここでは、多くの高専に設置されている主要な5つの学科系統について、それぞれ「何を学び、何ができるようになるのか」をざっくりと解説します。
情報系
プログラミングで未来のサービスを作るスペシャリスト。「AI」やアプリ開発に興味がある人向けです。
機械系
アイデアを形にする「ものづくり」のプロ。ロボットや自動車など、動くモノが好きならこの学科がおススメです。
電気電子系
電気回路・電子回路・電磁気・制御・通信などを幅広く学びます。機械もプログラミングも幅広く学びたい欲張りな人向けです。
化学・材料系(マテリアル)
すべての技術の土台となる「素材」を極める研究者。
化学・バイオ系から生物系まで幅広く学ぶことができます。理科が好きな方におススメです。
建築・土木系
安全で快適な暮らしと社会をデザインするクリエイター。建物や街づくりに興味があるならおススメです。建設現場で働きたい方は是非!
ステップ2:未来を覗き見!「シラバス」で授業内容をチェック
各学科のイメージが掴めたら、次はもう少し解像度を上げていきましょう。学科名やパンフレットの紹介文だけではわからない、より具体的な学習内容を知るための最強のツールが「シラバス」です。
シラバスって何?どこで見れるの?
シラバスとは各授業の目的・内容・評価方法などをまとめた『授業概要』です。5年間の全体像は『カリキュラム表』で確認できます。ほとんどの高専が公式ホームページで公開しています。「〇〇高専 シラバス」と検索すれば、すぐに見つかるはずです。

授業名からわかる「本当に学べること」
シラバスを眺めていると、「プログラミング基礎」「応用物理学」「環境化学」といった具体的な授業名が並んでいます。
これらの授業名をパラパラと見ていくだけで、「この学科、意外と化学の授業が多いんだな」「3年生になるとロボットの授業があるのか!」といった発見があります。自分の興味のあるキーワードが含まれる授業がどの学科に多いか、という視点で比較してみるのがおすすめです。
ステップ3:【上級者向け】「研究室」から選ぶという裏技
シラバスのチェックまでできれば十分ですが、さらに一歩踏み込んで、絶対に後悔したくないという探求心の強いあなたに、上級者向けの裏技を伝授します。それは「研究室から選ぶ」という視点です。
高専生活のゴール「卒業研究」から逆算する
高専生活の集大成は、5年生で行う「卒業研究」です。学生は、所属する学科の先生が持つ「研究室」に配属され、1年間かけて専門的な研究に取り組みます。
であれば、ゴール地点から逆算して学科を選ぶ、という考え方もできるわけです。
自分が何をしたいか、その学科を選んで4~5年間学び抜くことができるかをよく考えたうえで専門分野を決めましょう!興味を持つことは非常に大切です!
研究室の調べ方と注意点
研究室の情報も、各高専のホームページに掲載されています。「〇〇高専 教員紹介」などで検索すると、先生方の専門分野や研究テーマを見ることができます。その中に、あなたの心を強く惹きつけるような研究テーマがあれば、その先生が所属している学科を選ぶ、というのも非常に賢い方法です。
また、直接研究室に行き先生に話しを聞いてみることもきっかけになるでしょう。
無料勉強相談って??
「高専に行ってみたいけど、勉強についていけるか心配…」、「受験対策は何から始めればいいの?」と不安に感じている方もいるかもしれません。そんな方のために、高専入試に特化した学習塾・ナレッジスターでは無料の勉強相談を実施しています。高専受験のプロである講師陣が、一人ひとりの状況に合わせてアドバイスしますので、安心してご相談ください。あなたもナレッジスターと一緒に、高専合格への一歩を踏み出してみませんか?きっと夢への道筋が見えてくるはずです!
まとめ:焦らなくて大丈夫。たくさんの情報に触れて「面白い」を見つけよう
高専の学科選びについて、3つのステップで解説しました。
しかし、最も大切なのは、中学生の今、完璧な答えを出すことではありません。
大切なのは、オープンキャンパスやWebサイトなどを活用して、たくさんの情報に触れること。そして、その中で自分が「なんだか面白そう」「もっと知りたい」と感じる直感を信じることです。
その小さな好奇心の種を、高専という環境が5年間かけて大きな専門性へと育ててくれます。焦らず、視野を広く持って、あなただけの「面白い」を見つけてください。
【Q&A】高専の学科選びに関するよくある質問
Q1. 入学後に学科を変更することはできますか?
A1. 転科制度を設けている高専もありますが、希望者が多く、成績などの厳しい条件が課されるため、非常に難しいのが現実です。基本的には、入学時に選んだ学科で5年間過ごすことになると考えておきましょう。だからこそ、最初の学科選びが重要なのです(2年次に研究室配属の場合はまた異なります)。
Q2. 複数の学科で迷っています。どうやって絞ればいいですか?
A2. まずは、この記事で紹介した「シラバス」や「研究室」を見比べて、より興味のある授業や研究が多い方を選ぶのがおすすめです。それでも決めきれない場合は、オープンキャンパスなどで各学科の先生や先輩に直接「〇〇と△△で迷っているのですが、2つの学科の大きな違いは何ですか?」と質問してみましょう。
Q3. まったく興味がない学科に入ってしまったらどうなりますか?
A3. 厳しい言い方になりますが、学習へのモチベーションを保つのが難しくなり、留年などのリスクが高まる可能性があります。高専の専門科目は学年が上がるほど難しくなるため、「好き」という気持ちが大きな支えになります。そうしたミスマッチを防ぐためにも、受験前の情報収集をしっかり行いましょう。

ライター情報
仙台高専マテリアル環境コースを卒業。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしていました。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。