高専受験生必見、高専の学科選びのポイント

~元高専生が実体験をもとに解説、高専の学科選びのためにやるべきこと7選!!~

はじめに 
~学科選びに必要な3つのキーワード~

 皆さんのほとんどは、これまで中学生という立場で学校の違いはあれども、同年代の人たちとは皆等しく同じ分野を学んできています。同年代の人たちと異なる分野を学ぶ、すなわち学問において最初に起こる人生の大きな分岐点が、高専入学に際する学科選びです。高専で選んだ学科はほとんどの場合、高専生活内で完結せず、その先にある将来のキャリアに大きな影響を与えます。そんな重要な高専の学科選びにおいて、自分に合った学科を選ぶことは極めて重要であるといえるでしょう。この記事では、自分に合った学科を選ぶための重要なポイントや、実行すべきことを説明いたします。高専での学科選びに迷っているそこのあなた、まずはこの記事で最も重要な以下の3つのキーワードを覚えてください!高専の学科選びでは、

「自己分析する」、「情報で知る」、「現地で知る」

ということが非常に大切です。このキーワードを踏まえたうえで、自分に最適な学科を見つける方法について7つ、具体的に解説いたします。

1 自分の趣味と関心を見つける

自己分析の重要性

 自分の興味や関心を明確にすることが、高専での学科選びの最初のステップです。自己分析を通じて、自分が何に興味を持っているのか、何が得意であるのかを理解することで、自分に合った学科を見つけることができます。自己分析を行ったうえで、自分の学びたい分野に対応する学科が志望する高専になければ、その分野が学べるような別の高専を志望することも視野に入れてみましょう。以下に、自己分析で考えることを明記しているので、これを目安に自己分析をしてみてください!

【自己分析で考えること】

  • 自分が何に興味を持っているのか
  • 得意なこととは何か?
  • 将来なりたい職業は?

趣味や、好きなこと、得意なことを考える

 自己分析の重要性について把握した後は、自己分析を始めてみましょう。分析の手法としては、自分の好きなこと、得意なこと、将来やってみたいことを複数リストアップし、関連性の高い項目をグループ化していくことです。グループ化した項目を見て、自分が何に興味を持っているのかを把握し、それに関連する高専の学科を探すとよいでしょう。例えば、理科の実験が好きなら化学系や生物系の学科、ロボットや機械の設計に興味があるなら機械系の学科、コンピュータゲームやプログラミングが好きなら情報系の学科、デザインや建築に興味がある方は建築系の学科が適しているかもしれません。

 全国の高専には、主に以下のような学科が存在しています。是非参考にしてください。

2 将来のキャリアプランを考える

どんな職種につきたいか、将来何がしたいか考えてみる

 学科選びのためには、自分が将来どのような職業につきたいかを考えることも重要です。前述の通り、高専で選んだ学科はほとんどの場合、高専生活内で完結せず、その先にある将来のキャリアに大きな影響を与えます。自分が将来どのような職業に就きたいのか、そのためにはどの学科が適しているのかを考えましょう。例えば、建築家やインフラ整備、デベロッパー等を目指すなら建築学科、エンジニアとして製造業で働きたいなら機械工学科や電気工学科等、IT業界に興味があるなら情報工学科、化学メーカー等で働きたいなら物質工学科等が有力候補になります。また、職業ガイドブックやインターネットでの調査も役立ちます。

企業の求人動向

 特に高専卒業後に就職を希望している方であれば、将来の仕事の希望する業界や企業の求人動向を調べ、その分野で必要とされる知識や技能を学べる学科を選ぶと良いでしょう。企業の採用ページや業界レポートを確認することで、どのような分野の素養や、スキルが求められているかを把握できます。

3 学科のカリキュラムを確認する

Webシラバスで、必修科目と選択科目等を知る

 各高専のWebサイトには、各学科のシラバス(カリキュラム)が掲載されています。シラバスには、各科目の内容や授業計画が詳細に記載されているので、必修科目や選択科目の内容を確認し、自分が興味を持てる内容かどうかをチェックしましょう。シラバスを見ることで、どのような知識やスキルを学べるのかが分かります。

実験・実習の内容を把握する(情報でまずは知る)

 高専では、下級生のうちからほぼ毎週、実験や実習が行われ、それについてのレポートも課されていくため、実験・実習の内容も学科選びにおいて重要な要素です。どのような実験・実習が行われているのか各高専のHPの学科説明動画(あれば)や、Webシラバスの実験科目で確認し、自分が興味を持てる内容かどうかを判断します。実際のところ、オンラインで得られる情報は人から与えられた情報に過ぎず、実際に現地で実験・実習を体験してみると、元々抱いていた印象と大きく変わるかもしれません。可能であれば、オンラインで得られる情報に加えて、現地で実験・実習を体験したうえで自分がどう感じるかを大切にしてください!事前に学科を知るうえで、どのような実験・実習が行われているか、まずはオンライン上の情報を使って確認することが重要です。

4 オープンキャンパス、入試説明会等のイベントに参加する

これらイベントに参加する目的(実際何をするの?)

 オープンキャンパスや入試説明会に参加することで、学校の雰囲気や学科の詳細を直接知ることができます。教員や在校生と話すことで、実際の学びの環境を肌で感じることができます。これにより、インターネットやパンフレットだけではわからない、リアルな高専の学科の情報を得ることができます。個人的には、ここで知り得た感覚を一番大切にしてほしいと思います。

オープンキャンパスへ参加する際にやるべきこと

・授業体験に参加する

 実際の授業を体験してみることで、学びの雰囲気を掴むことができます。具体的には、どのような内容が教えられているか、教員と学生との関係性はどうか、学科の雰囲気はどうかを確認しましょう。

・在校生の充実度を聞く

 在校生に直接話を聞き、リアルな学科の状況や充実度を確認します。気になることに関して、具体的な質問リストを事前に用意しておくことも良いと思います。

・学校の設備や学習環境を確認する

 図書館や実験施設など、学習に必要な設備をチェックします。設備が充実しているか、自分の学習に適した環境が整っているかを確認しましょう。

・部活動見学に行く

 部活動の活動状況を見て、学校生活の幅広さを確認します。自分の興味のある部活動があるか、活動内容が自分に合っているかをチェックしましょう。こちらは、あまり学科選びにおいては関係しないかもしれませんが、学校生活において課外活動は青春そのもの。最高の高専ライフを送るためにも、オープンキャンパスに参加した際は、部活動見学は是非行ってみてほしいと思います。

入試説明会へ参加する際にやるべきこと

 入試説明会では、入試の概要や対策方法について詳しく知ることができます。説明を聞くだけでなく、質問の機会があれば、疑問点を質問して不安を解消しましょう。また、入試の傾向や対策方法、過去の合格者の特徴などを考えながら話を聞いておくと良いでしょう。これらの有益な情報は、質問せずとも、初めから話してもらえるような場合もあります。入試説明会は、入試において必要な情報が得られる大切なチャンスですので、是非参加することをお勧めします。

5 高専在校生、卒業生等の意見を聞く

体験談の収集(ネット上や、オープンキャンパスなどで在校生に質問して情報収集する)

 ネット上やオープンキャンパスで在校生や卒業生の入試体験談や高専での体験談を収集しましょう。実際に学んでいる人や卒業した人の意見は非常に参考になります。具体的な質問としては、「なぜその学科を選んだか」「入試でどのように勉強したか」「どのような授業が印象に残っているか」「実習や実験で大変だったことは何か」などを聞いてみましょう。

執筆者はどうやって高専の学科を決めたか
(体験談)

 私自身、高専を選ぶ際にオープンキャンパスで多くの在校生と話をしました。その中で、自分の興味に合った学科を選択することができました。具体的な質問を準備しておくと、より有益な情報を得ることができます。例えば、「学科の雰囲気はどうか」、「どのような授業が特に役立っているか」、「実際どれほど忙しいか」、「進学や就職に関する実際の状況」などを聞くと良いでしょう。

 私の場合は、中学校での授業や自由研究等を通して、理科の実験に非常に興味を持っていることが自己分析によって明らかとなっていたので、中3時の夏に高専のオープンキャンパスに参加し、電気系、化学系の2学科について、模擬授業・実験を受講いたしました。どちらの学科の内容も非常に興味深かったのですが、授業を受けてみて、単純に5年間高いモチベーションでその分野に取り組めるのかどうかという指標で見た時に、自分には化学が合っているということを感じ、化学系の学科に志望学科を定めました。また、高専進学後は、中学校で行っていた部活動であるラグビーを継続したいと強く思っていたので、部活動見学へも参加し、部活の先輩にどの学科がお勧めか、また先輩方はどの学科に所属しているのか(これは過去問をくれる先輩がいるかどうかの確認も兼ねて)等の聞き取りを行い、高専進学後に、部活動にもしっかりと取り組みながら、志望している化学系の学科で上位の成績が取れるようにするための根回し?も行っていました(笑)。助言としては、入学前と入学後で授業形態や学ぶ内容のイメージにギャップが生じてしまわないようにするために、必ずといっていいほど、高専のオープンキャンパスへの参加を推奨します。また、実際に模擬授業や実験に参加したり、見学する際は、「授業内容に面白みを感じることができるか」、「5年間楽しんで学べそうか」、「高いモチベーションで取り組めそうか」という指標を念頭に置いて、自分に最適な学科選びをしてみましょう。

6 学科の進路実績を確認する

就職先の企業一覧を見る

 各高専のWebサイトやパンフレットには、学科ごとの就職先企業一覧が掲載されています。これを確認することで、その学科の卒業生がどのような企業で働いているのかを知ることができます。例えば、自分の行きたい企業への就職実績がある学科は、何らかの形でその企業への就職に有利である可能性が高いです。高専からの就職はほとんどの場合が推薦であるため、学科内で真面目に取り組んできっちりと良い成績を取っていれば、希望の企業への就職は身近なものとなるでしょう。

進学率、進学先を見る

 高専卒業後に進学希望のある学生は、大学・専攻科への進学率や進学先も重要な情報です。例えば、電気工学科の卒業生が多く〇〇大学に編入している場合、その学科は〇〇大学への進学に強いと言えます。進学率や編入先の大学名などの情報を学校の公式サイトやパンフレットで確認してみましょう。

7 「自己分析する」「情報で知る」「現地で知る」を行ったうえで、最終的に自分の“~したい”を学べる・活かせる学科を選ぼう!

 これまで、高専の学科選びのためにやるべき1~6の項目についてお話ししましたが、これらを踏まえて、最終的に自分の頭に思い浮かんだ、“得意なこと”“好きなこと”“興味を持っていること”、総じて”~したい”を学べる・活かせる学科を選ぶことが何よりも一番大切です!高専生活は5年間、専攻科へ進学すれば7年間という、長い期間をかけて未来の技術者を養成する機関です。日々の学校生活や授業で、「楽しい!面白い!もっと知りたい!」が続くことが、学業面において高専生活を充実させるうえで一番重要なことであると思います!色々考えてしまって、悩んでしまった際は、最後は、「結局何が一番したいか」これを考えましょう!

まとめ

ここまでで、高専の学科選びのためのポイント、やるべきことを解説しました。高専の学科選びは、将来のキャリアに繋がる第一歩となります。行きたい学科が定まらない、そんな時は、自己分析を行い、情報を収集し、現地で確認することで、自分に最適な学科を見つけることができます。是非、これらのポイントを参考にして、自分に合った学科を選んでください!

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執筆者情報

[出身高専 学科] 奈良工業高専 物質化学工学科 卒業、物質創成工学専攻 修了
[氏名]   甲元蓮羽
[自己紹介] ナレッジスター塾講師。出身の奈良工業高専での専門分野は化学工学。現在は大阪大学大学院博士前期課程在学中で、工学と経営学のダブルディグリーで修士号取得のため、日々勉強中。趣味はラグビー観戦、特技は炭酸の一気飲み。

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