「高専」とは?

ナレッジスターは「高専に入る」「高専から大学に入る」ということに
特化した数学教育と,情報発信を行っています.

「高専」というのは, 通常の高校とは様々な面で違いがある学校です.
ですから, 保護者様, 学生の皆さまの中には, 「高専」の仕組みを
把握できずに戸惑っていらっしゃる方も多いことと思います.
このページでは, 網羅的に「高専」の仕組み,そして「高専から大学に編入学する」
という大学進学の方法について, 説明をします.

そもそも「高専」というのは

まず,そもそも「高専」とは一体何か?
という疑問をお持ちの方は非常に多いと思います.

  • 「高専」には,中学校を卒業して入学します.
    高専は,「中学校を卒業されたお子さまが入学」する学校です.
  • 「高専」は「高校」ではありません.
    高専は「高校」と,教育機関としての種類が違います. よって,カリキュラムもふつうの高校とは違います.
  • 「高専」は,現場で即戦力として活躍できるエンジニアを養成するための学校です.
    高専は,基本的には「現場で即戦力として活躍できるエンジニアを5年かけて養成する学校」です.カリキュラムも,当然その目的にあわせて組まれています.商船高専や航空系の高専もありますが,基本的には工業系です.
  • 「高専」は5年制です.
    普通の高校は「3年制」ですが,高専は「5年制」です. よって,基本的には「高専5年」まで通うことになります.ですから,高専卒業の段階で,短大卒と同等の扱いになります.

よくある誤解

高専はこのように, 普通の高校とは様々な面で異なっています.
さらに,高専に行く学生さんと高校に行く学生さんでは,高校のほうが圧倒的に多数派なので,
「高専」は,  さまざまな誤解をされがちです.

  • ロボコンの学校でしょ?
    「高専ロボコン」は確かに有名ですが,ロボコンをやっている学生さんは少ないです.だいたいの学生は,ロボコンに触れずに卒業しそうです.
  • 入試がすごく難しいんでしょ?
    難しいというよりも,「公立入試とちょっと違う」くらいのイメージです.数学と理科あたりが重視され,場合によっては数学だけ200点満点として換算されたりします(傾斜配点 ※各高専により異なります).一生懸命勉強をすれば歯は立ちますし, みんな立場はおなじです. また,ナレッジスターでは,わかりやすい高専の過去問解説もアップロードしてあります.
  • 留年が怖い!!
    基本的には,クラスで数名しか留年しません.頑張っていれば認められますし,授業にもついて行けます. 高専の授業は, だいたい普通の進学校と授業について行く難しさとほぼ同じだと思います.
  • 将来の進路限られるんでしょ?
    特色上, 工業系の大学や企業に進む人が多いですが,そうではない進路(文系大学,理学部,工業系ではない企業など)に進む学生もじつは一定数います. 後で述べますが, 高専からの大学編入という進学方法があるので, 「比較的に簡単に大学進学をできる」という意味で, 工業系以外の道を志す場合も高専は価値のある選択肢と思います.
  • 高校と全然違うんでしょ?そこに進学は不安…
    確かに「高専は高校ではない」ですが,1,2年の間は,ほぼ高校のようなものです.クラスがあり,担任がいて,内容も高校でやることがほとんどです.「高学年に行くにつれて徐々に専門的になる」ようなイメージで,きちんと学校側がそこに関してもケアをしてくれるので,そこまで心配する必要はありません.

    たとえば,数学のカリキュラムとしては,
    1年[高校数学]→2年[高校数学+α]→3年[大学数学]→4年[大学数学]→5年[大学数学]
    といった流れです.高校数学を2年かけずに終わらせるのは一見凄く見えますが,
    高専生は「センター試験などの受験戦争をパスできる」ので,高校における「受験教育」が
    まるごとパスできます. なので,意外とこういうカリキュラムで大丈夫なのです.

普通高校との「進学/就職」の違い.

高専と普通高校の最大の違いは,やっぱり「学年」です.
高校生は「3年次修了」と同時に進学,就職をしますが,
高専は「5年次修了」が基本なので,「2年間のズレ」が生まれます.

この部分に関して, システムが少し複雑ですので,
「進学と就職の地図」を以下に示します.

「高専入試」「大学編入」の関係をわかりやすくまとめた図です.
「高専入試」「大学編入」の関係をわかりやすくまとめた図です.

ちなみに,「高専専攻科」というのは,高専の5年間の上にさらに2年プラスで併設されている学校で,簡単に言えば「高専の延長」のようなものです.
入学が簡単で,学費が安く, 環境が変わらないというメリットがあります.
(ただし,高専によって専攻科があるところと,ないところがあります.)

各矢印の解説を付加した図が以下です.

各矢印の意味を解説しました.
各矢印の意味を解説しました.

上図における「高校→大学の進学」が,
いわば「高校生が経験する受験戦争」です.

この進路をたどるときに, 模試センター試験などで
完全に「受験に忙殺されてしまう期間」が生まれてしまうことが多いです.

上図には書いていませんが,「高専3年次途中退学→大学入学」も一応可能です.
しかし,センター試験など受験対策は高専では全く行われないので,あまり一般的な選択肢ではありません.

「高専→大学の編入学」がオススメ.

「高専→大学の編入学」は, 非常に有利な大学進学の方法です.

  • センター試験,模試などをすべてパスできる(「編入学試験」を1回受けるだけ).これは相当大きい時間の節約になる.(個人的には, これだけでも編入学には価値があります)
  • 旧帝大などの上位大学に入学しやすい(少なくとも巷で言うところの「受験戦争」と比較したら,圧倒的に入りやすい).
  • 大学内に入ったら高専からの編入生はなぜかやたら優秀な傾向がある.
  • 「単位認定」というシステムで,高専で取得した単位が,そのまま大学1,2年での単位に充てられる.このシステムにより入学後のスケジュールが空く傾向があり,空いた時間で周りと差をつけるために進んだことができる.
  • 編入試験の内容は,「高校→大学進学の勉強」よりも,大学で学ぶ内容や現場で使える内容に直結している.
  • 技科大や専攻科には,入学試験ですらパスして推薦で入学できる.

ですから, 高専→大学の編入学というルートはとてもオススメなのです.