全国にも3つしかない⁉公立の高専、大阪高専を現役学生が深堀りします!

みなさんは大阪高専という学校についてどれくらい知っていますか?

現役の大阪高専生の解説で、ぜひ大阪高専マスターになりましょう!

大阪高専ってどんなところ?

大阪高専の成り立ち

大阪高専の沿革

1963年

大阪府立工業高等専門学校の1期生が入学した

2005年

総合工学システム学科(6コース制)と専攻科が設置された

2011年

公立大学法人大阪府立大学に移管され、校名を「大阪府立大学工業高等専門学校」と改めた

 

総合工学システム学科が、5コース編成となった

2022年

大阪府立大学と大阪市立大学が融合し大阪公立大学となったため、校名が「大阪公立大学工業高等専門学校」に変更になった

 

総合工学システム学科が、4コース編成となった

2024年

専攻科の募集を停止した

2027年

大阪公立大学の中百舌鳥キャンパスへ移転予定

 

大阪公立大学工業高等専門学校(大阪高専または公大高専)は、2023年に60周年を迎えた高専の中では歴史のある学校で、全国58校中、3校しかない公立の高専です。

現在(2024年4月)までに、2度も名前が変わっており、2027年度からは大阪公立大学の中百舌鳥キャンパス(〒599-8531 大阪府堺市中区学園町1番1号)への移転が予定されています。大阪高専の学科・コースについては後ほど解説いたします。

大阪高専の偏差値

大阪公立大高専の偏差値は64。全国の高専の平均は62.2です。

大阪高専の学科・コース

大阪高専の学科は、総合工学システム学科1つです。その中で、2022年度までに入学した学生は機械システムコース、メカトロニクスコース、電子情報コース、環境物質科学コース、都市環境コースの5コース(本校内では旧カリキュラムと呼ばれています)に、2022年度以降に入学した学生はエネルギー機械コース、プロダクトデザインコース、エレクトロニクスコース、知能情報コース4コース(本校内では新カリキュラムと呼ばれています)に分かれています。

 

コースに分かれるのは2年生からで、1年生の間は一般科目と専門共通科目を学びます。1年生は、1年かけてどのコースに入りたいかを週に1度、午前中の授業を丸ごと使って実際の実験実習をもとに考えていきます。最終的な配属コースの希望は2月末にとられますが、実験実習のほかにもコース担当教員からのコース紹介や質疑応答の場面がいくつかあります。ですので、1年生の間は希望コースに入れるように定期試験を受けながら、希望するコースを実際に体験しながら決めていく期間になります。

大阪高専の進学・就職実績

「大阪公立大学工業高等専門学校 2024年度学校案内」による過去5年の進学・就職実績は以下の通りです。

進学実績

国立:長岡技術大学(25名)、豊橋技術科学大学(20名)、和歌山大学(11名)、大阪大学(10名)、東京大学(4名)、東京工業大学(3名)、奈良女子大学(2名)、ほか

公立:大阪府立大学(51名)、大阪公立大学(2名)、滋賀県立大学(3名)

私立:大阪工業大学(2名)、立命館大学(1名)、同志社大学(1名)、関西大学(1名)、日本映画大学(1名)

国立では長岡技術大学と豊橋技術大学への進学者が多く、公立では同一法人で運営されている大阪公立大学(大阪府立大学と大阪市立大学が融合した)への進学者が多いという印象です。

就職実績

高専では就職倍率ではなく求人倍率がとても高い、つまり私たちが企業に対して就職希望を出すのではなく、企業側が就職者を探しているということです。大阪高専の2022年度の求人倍率は32.3倍、就職希望者1人に対して32.3人分の枠が募集をかけていたことになります。実際の就職先は出身コースによって大きく違いますが、

  • 製造業〈(株)荏原製作所、川崎重工業(株)、パナソニックグループ、ダイキン工業(株)など〉
  • 建設業〈(株)大林組、(株)熊谷組、NTTインフラネット(株)、日揮(株)など〉
  • サービス業〈関西電力(株)、大阪ガス(株)、京セラコミュニケーションシステム(株)、JR西日本(株)、三菱電機ビルテクノサービス(株)など〉
  • 公務〈国土交通省、大阪府、大阪市、吹田市、茨木市、寝屋川市など〉

の4つに分けられます。

新カリキュラムの4コースからの就職者はまだいないため、上記の就職実績のようにはいかない可能性もありますが、旧カリキュラムにも機械システムコースや電子情報コースなど一部重なるコースがありますので、参考程度にしていただければと思います。

大阪高専って移転するの!?

先ほども出てきましたが、大阪高専は2027年度より大阪公立大学の中百舌鳥キャンパスへ移転します!(2024年4月現在の予定)

ですので、現在の校舎(〒572-8572大阪府寝屋川市幸町26-12)で過ごせるのは残り3年間となっています。

大阪高専の生活

授業について

時間割について

授業は朝9:00から1限目が始まります。中学生の時のように、朝学活などの時間はなく登校後はそのまま授業がスタートします。大阪高専の時間割は以下の通りです。

 

~09:00

登校

09:00~10:35

1・2限

10:35~10:45

移動・休憩

10:45~12:20

3・4限

12:20~13:05

昼休み

13:05~14:40

5・6限

14:40~14:50

移動・休憩

14:50~16:25

7・8限

16:25~

部活・下校等

 

基本的に授業は大学と同じように90分で1コマですが、授業の途中で5分程度の小休憩があるので95分間取られています。基本的にというのは絶対に小休憩があるとは言えないためです。先生によっては95分間続けて授業をしてくださる方もいるので、はじめのうちは体が慣れずしんどいと感じるかもしれません。しかし適度な水分補給は許してくださっている先生も多いので、少しずつ集中できる時間を延ばせればいいですね。

お昼休みは45分しっかりあるので、お弁当や食堂で買ったお昼ご飯を食べたり、売店にはお菓子・ジュース・アイスクリームもあるのでおやつまで食べたりできます。食堂は昼休み中はかなり混みますが、午前中に食券を先に買っておいたり、お弁当なら予約をしたりできるので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

定期試験について

また、大阪高専は2学期制を採用しているため、定期試験は前期中間(6月上旬ごろ)・前期末(8月上旬ごろ)・後期中間(12月上旬ごろ)・学年末(2月中旬から下旬ごろ)の計4回あります。

行事について

大阪高専内の行事は学友会執行部という、生徒会のような団体が取り仕切ります。会場の設営や運営はもちろん、ステージイベントでは照明や音響も彼らが行います。それでは早速、大阪高専の2大行事を紹介します。

高専オリンピック

高専オリンピックはいわゆる体育大会のような位置づけで、毎年5月下旬ごろに催されます。しかし、全員参加のリレーや団体演技などはなく、自分が担当する競技をクラス内で決め、クラス対抗で戦います。昨年度の競技種目には、ドッジボールやサッカーのほかにモルックというフィンランドの伝統的なゲームをもとに開発されたスポーツがありました。クラスによってはオリジナルのTシャツやタオルを作って身に着けているところもありますが、コロナウイルスによる影響で数年間中止されていたため、大阪高専のホームページに載っている写真ほどの熱気は感じられませんでした。

高専の文化祭「高専祭」

どの高専においても最も盛り上がる行事であろう高専祭は、大阪高専では毎年11月の土・日曜日に開催されます。夏休みが終わると、どのクラスも本格的に準備をはじめ11月の当日まで駆け抜けます。準備費は学年によって違うので、限られた費用の中でどれだけの完成度まで持っていけるかが腕の見せどころではないでしょうか。しかし、高学年になってくると、展示の規模が大きくなり当日までに準備が間に合わず、高専祭中に仕上げていくこともしばしばあります。(笑)

高専祭にはクラス展示だけでなく、部活動による食品バザーや現代音楽部によるライブ、ダンス部や有志者によるステージイベントも行われます。特に人気なのは、水泳部によるシンクロです。演技開始時間の30分程度前にプールへ行かないと、人でプールサイドが人で埋め尽くされてしまうほど毎年大盛況です。興味を持った方はYouTubeで「公大高専水泳部」を調べてみてください!

高専祭が終わると、後期中間試験があと1か月まで迫ってきているので、お祭り気分が抜けていないと悲しい結果に終わってしまいます。高専祭準備期間中も、復習をコツコツ進めておかないと大変なことになるので短時間でも勉強の時間を確保してくださいね!

校舎・グラウンドについて

大阪高専の校地面積は全体で10万㎡(甲子園球場2.5個分)で、グラウンドは4.2万㎡もあります。

大阪高専のグラウンド(筆者撮影)

大阪高専内の建物は、シンボルとなっている時計塔、管理棟、教養棟、専門棟1・2、工場棟、図書館、食堂、地域連携テクノセンター、体育館、武道館、プールで、最初のうちは広すぎて迷子になってしまうほどです。図書館は大阪公立大学が所有している本を取り寄せられるので、たくさんの本から自分が借りたい本を探すことができます。グラウンドは400mトラックと、テニスコート、ラグビーポール、野球ベース、サッカーゴールがあり充実していますが、冬の体育で行うマラソンではトラックを1周する間にボコボコしているところや雑草に足を取られ、広すぎるがゆえに風を遮るものがないのでとてもしんどいです。(笑)

校則について

基本的に大阪高専の校則はゆるいです。体操服は指定のものを入学時に購入しますが、普段の学校生活は私服で過ごします。また、髪色・ピアス・ネイルもOKで「学生らしい」格好をしていれば怒られることはありません。しかし、校則がゆるいということは自分で責任を取らなければならないということでもあるので、そこは気を付けなければなりません。

高専女子について

全国の高専の女子学生は全体の約22%ですが、大阪高専もあまり変わりません。数年前までは、1クラスに3人ほどしかいないこともあったようですが、私の代は1クラスに7人います。2年生からのコース配属でコースごとに若干の偏りは出るものの、1年生の間に仲良くなった友達とはコースによらず関係は続いています。高専女子になったメリットや後悔については、下記のブログにて解説していますので、ぜひご覧ください。

リケジョ集合!高専女子って実際どうなの?

【祝】ロボコン2023優勝

高専といえば、というほど有名なロボットコンテスト(ロボコン)ですが昨年度はなんと我が校、大阪高専が優勝を手にしました!ロボコンは公式のロボコンホームページで「全国の高専学生が、毎年異なる競技課題に対し、アイデアを駆使してロボットを製作し、競技を通じてその成果を競うもの(一部抜粋)」と紹介されていて、2024年度で37回目を迎えます。競技課題は4月の中旬ごろに発表され、そこから予選を経てブラッシュアップしながら全国大会を目指します。ロボコン2023年度についても、下記のブログにて詳しく解説しておりますのでぜひご覧ください。

ロボコン2023年度優勝・大阪高専ろぼっと俱楽部の活動は?現役大阪高専生が調査 

短期留学のチャンスも!

大阪高専では神戸市立高専と共同で開発した、ニュージーランドの提携校へ約3週間の短期留学に行けるプログラムがあります。そのプログラムでは単に英語を学ぶのではなく、実際に英語でエンジニアリングに関する授業を受けられます。また、プログラム中はホームステイをするので、1日中英語に触れることができるのではないでしょうか。留学に行くのは春休み期間で、9月と10月頃に説明会があり、そこで実際の様子や費用についての説明があります。

大阪高専が気になってきたそこのあなたへ

オープンキャンパス

大阪高専では例年、7月頃からオープンキャンパス(学校説明会・体験入学・公開講座)が開催されます。以下は昨年度の学校説明会と体験入学のスケジュールですので、参考にしてください。

 

学校説明会(本校開催分)

開催日

申込開始日

7月15日(土)

6月27日(火)

9月9日(土)

8月22日(火)

10月14日(土)

9月12日(火)

11月18日(土)

10月17日(火)

 

学校説明会(中百舌鳥キャンパス開催分)

開催日

申込開始日

8月11日(金・祝)

7月18日(火)

8月12日(土)

 

体験入学

開催日

申込開始日

8月17日(木)

7月11日(火)

8月18日(金)

8月19日(土)

 

高専に興味を持っているのであれば、学校説明会と体験入学のどちらも参加することをお勧めします。先生や授業の雰囲気はもちろん、実際に見てみないとわからないこともたくさんあります。特に体験入学では4コース(エネルギー機械コース、プロダクトデザインコース、エレクトロニクスコース、知能情報コース)の実験を体験することができるので、学校選択にかなり役立つと思います。

他にも、体験入学は中学三年生向けではあるものの、公開講座では小・中学生向けの講座がいくつもあるので、中学三年生を待たずともに興味の幅を広げられたり、深ぼれたり、自分の興味の矛先があっているのかを改めて確認するのではないでしょうか。(講座の一部には500円程度の参加費がかかるものがあります。)

 

入試情報

大阪高専では、小論文と面接による特別選抜(以下、特別選抜)と、学力検査による選抜(以下、学力選抜)の2種類の選抜方法があります。特別選抜には出願資格の中に、「調査書の学習の記録欄(5段階評価)において、第3学年の全教科の評定合計が36 以上かつ数学、理科、英語、技術・家庭の4教科の合計が18以上の者」とあります。つまり、中学3年生の時の評定が、出願資格が得られるかどうかを左右するということです。ちなみに学力選抜にはそのような規定はありません。また、もし特別選抜に落ちても、学力選抜を受けることができるので中学3年生の評定を上のほうでキープしておけば、2度チャンスがあります。大阪高専の入試情報については、昨年度の情報にはなりますが以下でまとめておりますので、ぜひ参考にしてください。

大阪公立大高専入試対策(大阪府)公立|2024年最新情報まとめ

入試対策

以上、大阪高専について解説してきましたがいかがでしたか。

ナレッジスターでは、「大阪高専に入りたいけど、少し成績が不安」「入学してからの授業についていけるのかな」などのお悩みを抱える中学生、保護者の方に向けた無料相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談下さい。

高専入試対策コース

最後までご覧いただきありがとうございました。