そもそもレポートって?
レポートとは、高専の実験・実習の授業で得られた結果や考察をまとめたものを指します。実験の手順や結果を記録し、得られた知見を整理・分析することがレポートの目的とされています。
このレポートの延長線に卒業研究の卒業論文や学会発表などで提出する論文があります。
授業におけるレポートは、それらの下準備段階、つまり基礎の経験を積む機会となります。
レポートと課題は同じ?別物?
高専には、実験や実習の後に課せられるレポートのほかに課題レポートがあります。
課題レポートは、主に授業内に出される宿題のようなものです。講義で出される課題や問題に対して解答するものが多いです。学習内容の理解度を確認することが目的とされています。
レポートや課題はどちらにも期限があり提出が必須であることは同じですが、レポートの内容の方がより専門的なことが問われるという違いがあります。レポートや課題は最終的に評価の対象になるため、提出をしないと単位を落としてしまうことになりかねません。完成度がベストでない内容でも期日内に必ず提出するようにしましょう!
いつからレポートは始まるの?
レポートは、高専1年生から始まることが多いです。ただ、低学年の段階ではそこまで専門的な内容ではなく、学年が上がるにつれて専門性が上がります。レポートを書く量も、学年が上がることに比例して増えていきます。レポートがある科目はやはり実験の授業に多い印象です。
どんなことをしているか、私が在籍している仙台高専を例に紹介します。
1学年
1学年では通年週1コマで「工学基礎実験Ⅰ」という授業がありました。
4つほどに別れている実験テーマの中から自分の好きな実験テーマを選び、その実験や演習をする授業でした。テーマとしては、「webデザイン」、「水溶液のPHに関する実験」、「卵を上から落としてどうしたら割れないかを確かめる実験」など多岐の分野に渡った内容がありました。
仙台高専の場合、2年生に学年が上がる時にコース配属されるのでコース選択のためのよいきっかけになりました。
大体1ヶ月に1回、レポートが課せられます。手書きのレポートもあれば、Wordで作成するレポートもあり、レポートの媒体は担当の先生によって異なります。
何度かフィードバックがあり、どのように書いたらいいかを学ぶとてもよい経験になりました。
2学年
2学年では「工学基礎実験Ⅱ」、「ものづくり実習」という授業がありました。
2学年ではコース配属されているので、そのコースの分野に沿った内容の実験をしていきます。
私の場合、仙台高専のマテリアル環境コースに配属されました。マテリアル環境コースは、化学と材料の分野を学ぶコースになっています。
工学基礎実験Ⅱでは、ミニ卒研という形で少人数のグループに分かれて「植物を使ったSDGsの課題解決」に向けた実験を行いました。どんな内容の実験をするか、どんな装置を使うかも自分たちで考えます。得られた結果をまとめ、最終的に手書きのレポートにまとめます。
「ものづくり実習」では、高専に併設している工場で、旋盤や溶接、鍛造の仕組み、扱い方などを学びます。こちらも、学んだことを手書きのレポートにまとめます。
使用した器具や装置の模式図を手書きで描いたのが非常に大変だったのを覚えています。
3学年、4学年
3学年及び4学年では、「マテリアル工学実験Ⅰ、Ⅱ」、「環境分析実験」という授業があります。
大学や企業で扱う実験装置を利用し、様々な専門的な実験を行う授業です。
熱分析や硬さ試験、組織観察などの実験をしました。
3学年になると、今までと比べ物にならないくらい難易度が上がります。
私の場合、一度説明を聞いても実験装置の原理や操作方法などを理解することはできませんでした。
実験書という教科書のようなものがあり、その内容に沿ってレポートを書きますが何度も躓きました。レポート作成時に、何を学んでいるかを理解することが多かったです。
4年生になるとレポートがある授業が週に2つあり、レポートの提出が週に2回あったり、テスト期間と被っていたりとなかなかのハードスケジュールでした。
レポート自体は手書きではなく、Wordで作成しましたが、実験データの整理、グラフ作成などかなり大変です。ひとりでレポートをするのではなく、友達と一緒にレポートを行うことが乗り越えるための大事な策になります!自分では思いつかない考察が誰かと一緒だと生まれるということはよくあります。
私自身、深夜の時間まで友達と一緒にカラオケでレポートをしたり、電話しながらレポートをしたりしていました。
レポートがある授業とは?
実験・実習の授業。
例えば、機器分析や分析化学、構造力学などが挙げられます。
レポートの頻度は?大変?
レポートの頻度は1つの実験テーマが終わったと同時に課せられます。
大体4週に1回のペースでレポートがあり、提出期限はその1週間後が大半です。
実験の授業が2つあればレポート提出の時期が被ることはありますし、テスト期間にもろ被りなこともあるので特に4年生の時期が大変です。
進学を考える4年生は、レポートもテストも両方高得点を取る必要があるので、どのように計画を立てるかが非常に難しいです。全部に対し全力を注ぐのはもちろん大切ですが、後半になるとそれがもたなくなることはよくあります。そのため、最初の段階からレポートもテストも8割~9割の力で取り込むというのも賢い戦略です。
まだ低学年の高専生も心に留めておいてください。
レポートにはどんなことを書くの?
レポートには、実験テーマ、緒言(何に利用される実験なのか)、実験目的、実験原理、実験方法、実験結果、考察、課題、参考文献などについて、項目に分けてその詳細をまとめます。
レポートでは、行ったことをただ適当に書いてはいけません。その実験をしたことがない人が、レポートを見て同じ実験をできるくらい分かりやすく丁寧に、簡潔な日本語で論理的に書く必要があります。
レポートで身につくこととは?
レポートを何度も書いていくと身につくスキルが沢山あります。
- レポート作成を通じて、やりきる力や計画性が身につく
- 社会人になってからの納期管理に役立つ
- 文章作成能力が身につく
レポートで高得点をとるための方法とは!?
レポートの成績は、意外とまわりと差が付きやすいです。
ではどうやったら高得点が取れるのでしょうか??
紹介します!
参考文献の活用
まず1つ目に参考文献の活用です。
今の時代、インターネットで検索すれば情報は多く得られます。
ただし、インターネットの文献の内容がすべて正確というわけではありません。
そのため、インターネットの文献利用を禁止する先生もいます。
そこでおススメするのは、書籍の活用です。高専の図書館や市の図書館には、実験内容に類似した内容の専門書籍がたくさんあります。多くの場合、書籍には図やグラフなども記載されており非常に参考になります。考察や課題においても、図やグラフがあると説得力が増しますし、グラフなどがないレポートに比べたら高評価になるでしょう。
直接先生に質問しに行く
2つ目は先生に直接質問しに行くことです。
レポートにおける考察や課題のなかには、いくら考えても分からない内容というのは出てきます。
その際には担当の先生に直接聞きに行くことを強く勧めます。
質問しに行くことで、考察するためのヒントをもらったり、答えを聞けたりすることがあります。
ひとり悩まず勇気をもって聞きに行くことも大事です!
関心意欲の評価ポイントにもなります。
落単確定!?絶対やってはいけないことは??
レポート作成において絶対にやってはいけないこと、それは「誰かのレポートのコピー」です。
楽をしたいから先輩のレポートをそのままコピーしたり、友達のデータを利用したりするのはご法度です。そのような行為が発覚するだけでその科目の成績は0点になり、留年になりかねません。
絶対にやらないようにしましょう。
また、提出期日もしっかり守るようにしましょう。
まとめ
本記事では、高専生活におけるレポート事情について紹介しました。
高専に入学したら、レポートはつきものです。
学年が上がるごとにレポート作成の忙しさは増しますが、その経験・スキルは今後の卒業研究や就職後など多くの場面で役立ちます。
基礎の土台を作っていると思いながら頑張りましょう!
ライター情報
仙台高専マテリアル環境コースに在学。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしています。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。