専門科目でつまずく前に!高専生が教える苦手単元と克服法

はじめに

高専に入学すると、中学までとは大きく違う「専門科目」の授業が始まります。
その中には、多くの高専生が「苦手になりやすい」と感じる単元も少なくありません
この記事では、各専門分野ごとに代表的なつまずきやすい単元と、その克服法を紹介します。高専を目指す中学生や、専門科目に不安を感じている人の参考になれば幸いです🍀

そもそも高専の「専門科目」とは?

 高専の専門科目とは、将来の技術者として必要になる知識や技術を学ぶための授業のことです。

国語や数学、英語といった一般科目とは異なり、それぞれの学科・コースごとに内容が大きく変わるのが特徴です。

例えば、電気系であれば回路や電子部品について学び、機械系では材料や機械の仕組み、建築系では設計や構造について学びます。プログラミング系やデザイン系、化学系などもあり、自分の専門分野に直結した授業が中心になります。

専門科目は、低学年のうちは基礎的な内容が多いですが、学年が上がるにつれて実践的で難易度の高い内容へと進んでいきます。そのため、「今までに習ったことがない」「考え方が新しい」と感じる場面も多く、苦手意識を持ちやすい科目でもあります。

ですが、専門科目は高専の大きな魅力でもあります。早い段階から専門分野に触れられることで、将来の進路や自分の興味を深く考えるきっかけにもなります。

専門科目で苦手になりやすい代表的な単元

 高専の専門科目は分野ごとに内容が大きく異なりますが、「ここでつまずきやすい」と感じる単元にはある程度共通点があります。
ここでは、代表的な専門分野ごとに、多くの人が苦手になりやすい科目や単元と、その大まかな学習内容を紹介します。

機械系で躓きやすい科目:材料力学・機械力学

 機械系では、材料力学や機械力学といった分野が難関になりやすいです。
物体に力が加わったときの変形や動きを数式で表すため、数学と物理の知識が前提になります。現象自体は身近でも、式に落とし込む過程が複雑で、理解が追いつかなくなることがあります。

電気系で躓きやすい科目:電気回路・電子回路

 電気系で多くの学生が最初に壁を感じやすいのが、電気回路や電子回路の分野です。

電圧・電流・抵抗といった基礎から始まりますが、複雑な公式をいくつも使って回路全体を考える必要があり、計算と理論の両方を同時に理解しなければなりません。目に見えない電気の流れをイメージすることが難しく、感覚がつかめずに苦手意識を持つ人も多いです。

建築系で躓きやすい科目:構造力学・製図

 建築系で苦手になりやすいのは、構造力学や製図です。構造力学では、建物にかかる力やバランスを計算で考えますが、計算量が多く、考え方も独特です。また、製図では正確さやルールを守ることが求められ、少しのミスが評価に影響するため、慣れるまで大変に感じる人もいます。

化学系で躓きやすい科目:物理化学・分析化学・有機化学

 化学系の専門科目では、物理化学や有機化学といった分野で苦手意識を持つ人が多いです。
物理化学では、化学反応を数式やグラフで考える場面が多く、理論的な理解が求められます。そのため、計算や式の意味をつかめないと難しく感じやすくなります。有機化学では、化合物の構造や反応の流れを理解する必要があり、覚える内容が多いのが特徴です。暗記だけでは対応できず、規則性を意識しながら整理していくことが重要になります。

情報系で躓きやすい科目:アルゴリズム・プログラミング基礎

 プログラミング系では、アルゴリズムやプログラミング基礎でつまずく人が多いです。
文法を覚えるだけでなく、「どの順番で処理するか」「どうすれば効率よく動くか」を考える必要があります。正解が一つとは限らないため、考え方に慣れるまで難しく感じやすい分野です。

専門科目で苦手が生まれやすい理由

 専門科目は、高専に入学してから本格的に学び始める内容が多く、中学や高校までの勉強とは性質が大きく異なります。そのため、最初の段階で戸惑いや苦手意識を持ってしまう人が少なくありません。
 まず一つ目の理由は、前提となる知識が一気に増えることです。数学や物理、化学などの基礎知識を使いながら授業が進むため、どこか一つでも理解があいまいなままだと、その後の内容についていくのが難しくなります。専門科目は積み重ね型の学習が多いため、分からない部分を放置すると苦手意識が広がりやすいのです。
 次に、授業の進むスピードが速いことも大きな要因です。高専では限られた時間の中で専門性の高い内容を学ぶため、1つの単元にあまり時間をかけず、どんどん先へ進んでいきます。復習のタイミングを逃してしまうと、「気づいたら分からなくなっていた」という状態になりやすくなります。
 また、内容が抽象的でイメージしにくい点も、専門科目ならではの難しさです。回路の動き、機械の構造、化学反応の仕組みなど、目に見えないものや複雑な概念を扱うことが多く、最初は理解に時間がかかります。その結果、「自分には向いていないのかも」と感じてしまう人もいます。
 しかし、これらは多くの高専生が通る道であり、特別なことではありません。専門科目で苦手が生まれやすいのは、それだけ内容が本格的で、レベルの高い学びに入っている証拠とも言えます。

苦手になりやすい科目の克服法

 専門科目で苦手を感じたときに大切なのは、「才能がない」と決めつけないことです。高専の専門科目は、最初からスラスラ理解できる人の方が少なく、多くの学生がつまずきながら少しずつ理解を深めていきます。苦手を克服するためには、いくつか意識しておきたいポイントがあります。
 まず意識したいのは、分からない部分を早めに自覚することです。専門科目は内容が積み重なっていくため、分からないまま次の単元に進むと、後でまとめて苦しくなります。「ここが曖昧かもしれない」と感じた時点で立ち止まり、教科書を見直したり、ノートを整理したりすることが大切です。
 次に、一度で完璧に理解しようとしないことも重要です。専門科目は難易度が高く、初見では理解できなくて当たり前です。授業で聞く、復習で見る、演習で使う、と何度も触れるうちに少しずつ理解がつながっていきます。最初は「なんとなく分かった」程度でも問題ありません。
 また、基礎に立ち返ることを恐れない姿勢も克服には欠かせません。専門科目が分からなくなる原因は、実は数学や物理などの基礎部分にあることが多いです。遠回りに感じても、基礎を確認することで、その後の理解が一気に楽になることもあります。さらに、一人で抱え込まないことも大切です。高専では、先生に質問しやすい環境が整っていることが多く、分からないことを聞くのは珍しいことではありません。友人と一緒に考えたり、教え合ったりすることで、自分では気づかなかった理解の仕方に出会えることもあります。
専門科目の苦手意識は、正しい向き合い方を知ることで少しずつ薄れていきます。焦らず、自分のペースで積み重ねていくことが、結果的に一番の近道になります。

苦手があっても伸びる高専生の特徴

 高専では、専門科目につまずく経験は決して珍しいことではありません。実際、最初からすべての科目を理解できている学生のほうが少数です。その中でも、在学中に大きく成長していく高専生には、共通した「考え方の特徴」があります。

 まず挙げられるのは、苦手があることを前提として受け止めている点です。伸びる高専生は、「できない=向いていない」とすぐに結論づけません。専門科目は難しくて当たり前だと理解しており、つまずくこと自体を特別な失敗だとは考えていないのです。
 次に、結果よりも過程を大切にする姿勢が見られます。テストの点数や評価だけに一喜一憂するのではなく、「前より理解できるようになったか」「考え方が身についたか」といった変化に目を向けています。この視点を持っていると、苦手な科目にも長期的に向き合いやすくなります。
 また、周囲と比べすぎないことも重要な特徴です。高専には得意分野がはっきりしている学生が多く、周りができているように見える場面も少なくありません。伸びる高専生は、他人のペースではなく、自分の理解の進み方を基準に考えています。
 さらに、高専は5年間あるという時間の長さを理解している点も大きな違いです。今すぐ完璧になる必要はなく、学年が上がる中で少しずつ力を伸ばせばよいと考えています。この余裕が、難しい専門科目に対する精神的な負担を軽くしています。
 高専では、苦手があることよりも、その苦手とどう向き合うかが成長を左右します。焦らず、自分のペースで学び続けられる人こそが、結果的に大きく伸びていくのです。

まとめ

 高専の専門科目は、中学で習う内容の延長ではなく、それぞれの分野に特化した学びが中心です。そのため、最初は難しく感じたり、つまずく単元が出てくるのは自然なことです。しかし、苦手を恐れずに少しずつ理解を積み重ねていく姿勢が、長い目で見て大きな成長につながります。
 特に大切なのは、ただ問題を解くことだけでなく、考え方や理解の仕方を身につけることです。苦手を認めつつ、焦らず自分のペースで学ぶことで、専門科目の学習も無理なく進められます。中学の基礎をしっかり固め、専門科目でつまずいても諦めずに挑戦していけば、高専の授業も十分に楽しめるようになります。
 専門科目は難しそうに見えても、しっかり準備して心構えを持つことで、怖がる必要はありません。今から基礎を大切にし、苦手に向き合う習慣を身につけておくことが、入学後の自信につながります。
 高専での学びは長い5年間の積み重ねです。焦らず、自分のペースで一歩ずつ専門分野の理解を深めていきましょう!専門科目の学習を楽しむことが、将来の技術者としての力を大きく伸ばす第一歩です!

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ライター情報

所属高専:大阪公立大学工業高等専門学校
学科:総合工学システム学科 エレクトロニクスコース
氏名:大原佳蓮
ニックネーム:かれん
自己紹介:高専3年生のひよっこライター。特技は人前で緊張せず話せること。高専のことについて皆さんが知りたい有益な情報などを調査・勉強中です。

\本番前最後の模試!/