高専とは?高専入試、進路、偏差値などの特徴を徹底解説!

今回は、高専とは何か?について解説していきます。

「そもそも高専とは何か?」「高専では何ができる?」「高専生の進路は?」 などの
疑問を持つ人は多いかと思います。

この記事では、高専を熟知したプロが高専入試高専の学生生活高専生の進路について徹底解説します。
高専受験は情報戦!合格するための知識をゲットしましょう!

そもそも高専とは何か?

高専とは略称です。正式名称は高等専門学校といいます。
高専のほとんどが工業系の学校で、国立の5年制の学校です。
(ただし、商船科は5.5年制となっています。)
また、日本独自の教育システムであり、海外にはほとんど設置されていません。

実践的な知識を持つ技術者を養成することを目的としており、
1年生の頃から専門科目の授業や実験、実習を積極的に行っています。
高専での授業は、学問のプロである教授や准教授が教鞭を取ります。

高専の数は?

高専は国立・公立・私立合わせて58高専。※2024年3月現在
この他にも、海外でも高専の教育システムを取り入れた学校が
いくつかあります。(タイ高専・ベトナム高専・モンゴル高専など)

また、高専はに工業系の学科が多いのですが、中には文系の学科を設置している
高専が4つ存在します。

【文系学科】
①福島工業高等専門学校 ビジネスコミュニケーション学科
②富山高等専門学校 国際ビジネス学科
③宇部工業高等専門学校 経営情報学科
④広島商船高等専門学校 流通情報工学科
→【文系高専】現役文系高専生が高専の文系学科を紹介!

高専の数は少しずつ増えているのですが、
高専生の数は全国合わせて1万人弱と圧倒的に少なく、
それに伴って知名度も低くなっています。
(※全国の高校生が約100万人)

高専入試の特徴

高専入試制度

高専の入試制度には主に高専推薦入試高専学力入試の2つがあります。

高専推薦入試

 ⚫︎受験資格  
 ・学校長の推薦  
 ・中学の平均評定4.0以上  
  を必要とする高専が多い
⚫︎入試時期  
 ・基本的に、普通高校より早い1月前半〜中旬  
  各高専によって日程は異なります。
⚫︎試験内容  
 ・面接 / 小論文 / 口頭試問 / 適性検査 / グループワーク  (高専によって異なる)

高専学力入試

⚫︎受験資格
・誰でも受験可能です。推薦入試で不合格になった人も再度受験する
 ことができます。

⚫︎入試時期
・普通高校より早い2月中旬頃。(2025年の学力入試の本試験日は令和7年2月9日)

⚫︎試験内容
 ・マークシート方式
 ・国立高専と一部の公立高校で共通の問題が出題される。
  →異なる高専(産技高専・近代高専・国際高専・神山まるごと高専・サレジオ高専)
 ・採点方式が高専によって異なる(傾斜配点、社会を課さない など)

どちらの入試も倍率は2倍近くなります。
学力に関しては、普通高校入試とは違う高専独自の問題が
全国共通(国立高専と一部の公立高校)で出されるため、高専専用の対策をする必要があります。

普通高校、私立高校と併願が可能

高専学力入試は2月中旬のため、普通高校と比べ受験時期が早いです。
そのため、日程が被らなければ、公立高専/高校・私立高専/高校と併願することが
可能
です。「高校と高専、どっちに行こうかな…」と考えていた人も多いかと思いますが、
なんと両方とも受験できる可能性が非常に高いです。

▼より詳しい高専入試の仕組みは、こちらの記事で詳しく解説してるので興味のある方はご確認ください。

高専の偏差値

高専の偏差値は47〜69と幅がありますが、高専全体の偏差値は約61.7と、
一般高校より偏差値は高い結果となっています。
▶︎参考(全国高専偏差値ランキング2023)

高専合格難易度は偏差値ではなく倍率で決まる

高専受験で注意して欲しいのが、合格難易度は偏差値ではなく、
倍率(倍率=志願者数÷合格者数)で決まるということです。
倍率はその年によって変化することが多いです。
偏差値が高いからと言って、合格が難しいというわけではないので、
過去数年の倍率を調べてみるといいですね。
例)「高専の名前 倍率」で調べてみる

また、今の学力で合格するか分からない…という不安がある方は
ナレッジスターの高専入試対策コースの受講をご検討ください。
高専入試対策のプロ講師陣が、高専入試まで徹底サポートいたします!

高専の学生生活の特徴

高専の授業

高専の授業は大学に近い

多くの高専の授業は、大学に近い形式で進められます。

・1コマ90分授業
・赤点の基準が60点
・単位制

高専の授業は単位制で、自分が学びたい授業を選ぶことができます
しかし、3年生までは高校生と同じで、ほぼすべての単位が必修となり、
時間割で授業が定められています。
4年生からは必修だけでなく選択科目が多くなります。
また、同じ年に研究室に配属され、卒業研究に取り組み始めます。

高専は数学の進みが早い

高専の授業の特徴として数学の進みが普通高校に比べて早いことが挙げられます。
そのことも相まって、毎年単位不足で留年する学生がでます。
高専の授業スピードについてくためにも、
予習は必須となります。

高専の男女比

高専の男女比は4:1。(参考元:高専機構の各種情報)
5人に1人しか女子がいないと考えると普通高校に比べ、随分少ないです。
しかし、建築系や化学系の学科は、女子人気が高く、一部男女比率が逆転している高専も
あるようです。

高専の寮

高専には寮があるため県外の高専にも入学することが可能です。
高専は全寮制の高専もあるくらい寮が一般的な学校です。
通学時間や学年などで寮に入れるかどうか審査がありますが、
通学時間が長く、素行不良でなければほとんどの学生は問題なく入寮できます。

高専のイベント

高専のイベントは、体育祭・オープンキャンパスなど、普通高校でも開催されるものから、
高専祭・ロボコン・デザコンなど、高専ならではのものも開催されます。

⚫︎高専祭・・・高専の学生主体で企画・運営される学園祭(パンフレットやプロモーション映像の制作・編集も学生が行ったりします)
⚫︎ロボコン・・・ロボットをチーム(もしくは個人)で製作し、それを競わせる大会
⚫︎デザコン・・・日頃の学習成果を生かした生活環境関連のデザインや設計等を競う大会

特に高専祭では、その学校の雰囲気が感じれるため、どの高専を志望しようか
迷っている方は参加してみることをおすすめします。

高専の学費

国立高専在学中にかかる費用としては大きく以下の2つがあります。
①入学金:約84,600円
②授業料:約234,600円/年(前期117,300円・後期117,300円)

5年間通った場合、学費は1,257,600円かかります。
これは高校(3年間:平均356,400円)と比べると高く感じますが、
国立大学(4年間:平均2,425,200円)と比べると圧倒的に安いです。
高専ではより専門的なことが学べ、就職では1人あたり大企業含め数10社から求人が
届きます。そのことを考慮すると、それほど高くないともいえるでしょう。

高専生が利用できる奨学金制度

学費については、実際には世帯年収や、家族の事情が大きくかかわってきます。
もし学費面で不安がある方は、以下の奨学金が助けになるかと思います。

⚫︎日本学生支援機構奨学金
→世帯収入の一定条件を満たしていて、ある程度成績が良ければもらえる奨学金
⚫︎(社・財団法人、企業等による)各種奨学金
→奨学金を受け取る条件としては様々ですが、研究や将来への意欲、
 学力の優秀さなどが条件になる

▼こちらでより詳しく学費のことについて解説しているので、興味のある方をご確認ください。
高専5年間の学費はぶっちゃけいくら?奨学金制度を解説!

高専生の進路


高専の卒業は20歳。その先の選択肢として、主に就職、専攻科、大学編入の3つ
があります。それぞれの特徴について、解説していきます。

高専からの就職

高専では、1人に対して中小零細企業から大企業まで、10社ほど求人が届きます。
即戦力として扱える高専卒を求める会社は多いため、この求人量を例年保っています。
学校側の手厚いサポートも相まって、就職難と冠されている今でも就職率が100%
高水準を維持しています。
また、高専4年生、もしくは専攻科1年生次に希望の企業のインターンシップに
参加することができます。

⚫︎インターンシップ・・・実務経験を積むために、一定期間、企業や組織で働くプログラムのこと

インターンシップへ参加することで、自分の適性や興味、将来のキャリアパスについて考える
ことができるため、自分に合った企業を知るきっかけになります。
→高専生インターンシップ完全攻略まとめ

高専専攻科

専攻科とは高専の本科、つまりは5年生を卒業した後に進学できる2年制の学科です。
そこでは、本科よりもさらに高度な技術教育を行うことを目的としております。

課程を修了して大学評価・学位授与機構の定めた条件を満たした者は学士の資格
得ることができます。つまりは大卒と同等の資格が得られます。
さらに、深く専門的に研究したい場合は大学院への編入も可能です。

高専専攻科進学のメリット

・就職しやすい
→高専の本科と同じように企業から求人がくるため就職に関しては安泰です。

・学費が安い
→科と同じく授業料が23万5,000円と大学の学費と比べると格安です。
 国立大学に行くよりも約半額ほど安く、経済的負担が小さいことがメリットです。

・研究を継続できる
→本科の時の卒業研究を引き継ぐことができます。  
 そのため同学年の大学生よりも、その分野に対して長い時間を  
 かけて理解を深めることが可能です。

高専から大学編入

高専から大学に編入する場合、基本的に3年生に編入します。
しかし、 大学の授業と高専の授業が互換できないなどの理由で単位が足りない場合は
1、2年生に編入する場合もあります。

毎年数十名が高専から大学に編入していて東京大学や旧帝大などの有名大学に編入することも可能です。

大学編入試験は推薦と学力がある

推薦は高専のクラス内順位など成績によって受験資格が決められております。
推薦入試は面接を行う所がほとんどです。
この面接は口頭試験も兼ねているので専門的な内容を多く聞かれます。
卒業研究の内容を説明する場合もあるため、
研究内容に関しての理解度も重要となっています。

学力入試は受験資格に成績は関係なく、誰でも受験することが可能です。
学校や科によって違いますが専門科目や数学、化学、英語などの科目が問題として出されます。
英語の試験はTOEICなどの成績で免除される場合や、
出願要件としてTOEICのスコアを求めている場合もあります。
より詳しい情報は、以下の記事で大学編入のメリットデメリットに触れつつ解説しているので
ぜひ参考にしてみてください。
→高専から大学編入への道のり

高専のよくある質問

Q1.高専は何年制の学校ですか?

A.
高専は5年制の学校です。
ただし、商船科は5.5年制となっています。

Q2.高専入試の制度は何がありますか?

A.
主に推薦入試と学力入試があります。
学力に関しては、普通高校入試とは違う高専独自の問題が
全国共通(国立高専と一部の公立高校)で出されるため、
高専専用の対策をする必要があります。

Q3.高専から大学編入はできる?

A.
できます。
大学編入では、編入枠での受験となり、難関と言われる
国立大学や京大・東大・ 東工大などに進学する学生もいます。

まとめ

今回は高専入試、高専の学生生活、高専生の進路について解説しました。

高専では早くから専門科目について学ぶことができ、
就職率も100%と圧倒的な数字を誇ります。
しかし、授業の進みが早いためついていけず、最悪留年してしまう人も度々見られます。
高専では授業スピードについていくためにも、学習習慣が重要になります。
高専受験生は、高専合格を目標にするのではなく、そこからどう高専生活を送るのか
まで考えて、受験勉強に励んでいただきたいです。

最後までご覧いただきありがとうございました! 
ここまでの内容が分かったあなたは、もう立派な高専受験生!
ナレッジスターと一緒に、高専入試対策を始めませんか?