新高専生は知らないとマズい!?高専の専門科目と一般科目の違いとは

高専に入学すると、授業科目が一般科目と専門科目の2つに分かれます。
本記事では、それぞれの科目の違いや学年が上がるごとにどんな変化があるかを詳しく紹介します!

一般科目と専門科目とは??必修・選択科目って?

でははじめに、そもそも一般科目と専門科目がどのような科目なのか、また、高専に入学するとよく聞く”必修科目”と”選択科目”についてそれぞれ例を挙げて説明します。

一般科目

一般科目は、一般的な教養や基礎的な知識を養うことを目的としています。幅広い分野を学ぶことで、社会全体で通用するスキルや視野の広さを育むことを重視します。

主に一般科目では、工学のそれぞれの専門知識や技術を習得するために学問の基礎を学び土台をつくることが目的とされています。
高専を卒業するのに必要な総履修単位数のおよそ49%を一般科目が占めており、そのうち80%程度を1~3年次に履修します。残りの20%を4~5年次に、専門性の高い教養科目で学ぶことになっています。教養科目とは、自分が専攻する専門分野ではない分野を選択して授業をうける科目のことを指します。(必修科目と選択科目の両方が存在する)

一般科目の例

数学、物理、化学、国語、英語、人文科学、社会科学、保健体育など

専門科目

特定の分野や職業に直結する知識や技術を深く学ぶことを目的としています。将来のキャリアにおいて実践的に活用できる内容が中心です。高専では、実験や実習を行う科目もあります。
自分が所属するコースで学ぶ分野の高度な知識を身に着ける科目となっています。

(必修科目と選択科目の両方が存在する)

専門科目の例

プログラミング、有機化学、分析化学、設計製図、システム制御、工学実験など

必修科目

必修科目とは、卒業するまでに必ずその科目の単位を履修しなければならない科目を指します。
必修科目が不合格となると、留年に繋がります。

選択科目

選択科目とは、指定された授業科目群の中から自分が学びたい内容の科目を選択して単位を履修する科目を指します。選択科目は、不合格であっても留年することはありません。

ただし、卒業単位は167単位と定められているので、選択科目を履修しながら卒業単位を確保する必要があります。

一般科目と専門科目の比率(仙台高専の場合)

一般科目と専門科目の比率は学年ごとに異なるのでしょうか。
ズバリその答えは、「学年が上がるごとに一般科目は少なくなり、学年が上がるごとに専門科目が多くなる」です。学年ごとの比率を確認してみましょう。

1学年

1学年は最も専門科目が少ない学年です。ただし、実験や実習はあります。
今後、専門科目を学ぶための基礎知識を一般科目で身に着けていく期間とイメージしておくとよいです。1年次に学ぶ基礎科目を十分に理解していないと、学年が上がったときについていくのが大変だったり、赤点を取ってしまったりなど様々な問題が生じてしまうので気合を入れて基礎を理解しましょう!

2学年

2年次になると少し専門科目が増えます。比率として、3:7程度です。
2年次では、高専生活で非常に重要となる微分積分や大学数学を学ぶことになります。
微分積分は数学だけでなく、物理や化学の場面でもたくさん登場します。
まだまだ、今後のための土台をつくる時期です。躓かないよう頑張りましょう!

3学年

3年次になると、一般科目:専門科目の比率が5:5くらいになります。
1~2年次に学んだ基礎知識をフル活用する専門科目が一気に増えます。
また、自分が所属しているコースとは直結しない科目も履修することがあります。
私は材料・化学系のコースでプログラミングや電磁気学を学びました。
3年次は難易度がさらに増し、大変だったのを覚えています。また、実験・実習も本格的になりなかなかハードでした。笑
難易度も上がるため、一番留年する学生が多い1年になりました。

4学年

4年次になると、一般科目:専門科目の比率が2:8くらいになります。
一般科目は必修科目の英語と選択科目から好きな科目を選ぶ程度です。
あとは、すべて専門科目になります。
専門科目の中にも、有機化学Ⅰと有機化学Ⅱのように分かれている科目も多々あるので、日々の積み重ねがかなり重要になります。4年次は必修科目の専門科目が沢山あるので、3年次よりもさらに大変になります。

5学年

5年次だけは、1~4年次とは若干見方が異なります。
5年次は、全体的に履修する科目が4年次に比べて少ないです。5年次は卒業研究があるため、基本的に研究がメインになり、空いた時間に授業を受けるという時間の使い方になります。
私が所属している学科では、5年次の必修科目(卒業研究を除く)の単位数が7つでした。
そのため、5年次は卒業までに足りない単位を一般科目や専門科目で履修することになります。
一般科目の比率が高くなることがあれば、専門科目のみを履修する可能性もあります。

専門科目はどんなこと学ぶの?難しい?

正直に言うと、専門科目は簡単ではありません。数学や物理の基礎をしっかり押さえていないと躓く場面も多いですし、覚えるべき専門用語もたくさんあります。しかし、その分「なぜこうなるのか」が分かった瞬間の喜びは格別です。また、実験や実習を通じて学べるので、座学だけでは味わえない「モノを作る楽しさ」や「理論が現実になる感覚」を体験できます。難しさの中にも、達成感ややりがいが詰まっているのが高専の専門科目の魅力です。

分野ごとにどんなことを学ぶか紹介します!

1. 機械工学系

機械設計、材料力学、熱力学、流体力学などを学びます。例えば、「エンジンはどう動くのか?」や「強いけど軽い材料をどう作るのか?」といった実際のモノづくりの基礎を習得します。3D CADソフトを使って設計をしたり、実験を通して理論を実感したりすることも多いです。

2. 電気・電子系

回路理論、電子デバイス、通信工学、電気機器などが主な科目。高電圧を扱う技術から、スマートフォンやパソコンの中で使われている小さな回路まで幅広く学びます。最近はIoTやAIに関する内容も取り入れられています。

3. 情報系

プログラミング、データベース、ネットワーク、アルゴリズムなど、現代社会に欠かせないITの知識を深めます。C言語やPythonを使ってプログラムを作成したり、サーバーを構築したりする授業も多いです。

4. 化学・材料系

化学反応や物質の構造、材料工学を学びます。「なぜこの薬品はこういう反応をするのか?」や「もっと丈夫で安価な材料を作るには?」といった疑問を解決するための基礎を身につけます。

5. 建築・土木系

建築設計、構造力学、都市計画などを勉強します。橋やビル、道路といったインフラを設計・施工するための知識を学びます。建築模型を作ったり、設計図を描いたりする実習も魅力の一つです。

一般科目の内容が専門科目に繋がるって本当?

一般科目で学ぶ内容が専門科目に繋がるのが本当か。ズバリ本当です。
一般科目で学ぶ内容が直結する科目が多いです。
そのような科目の大半が理系科目である、「数学」、「物理」、「化学」などの科目です。
例えば、電磁気学で学ぶ内容には微分積分・ベクトルなどの数学知識が求められますし、有機化学では化学の基礎知識が問われます。工業力学や材料力学などの科目でも力の向き・合力などの物理の知識が必須です。
基礎基本の内容がかなり重要です。低学年のときは、何をしているかよく分からない内容でも高学年になると「この内容に繋がっていたのか」と分かるときが必ず来ます!
頑張りましょう!

他学科・他コースの専門科目を学ぶことはできる?

自分が所属しているコース以外の科目を履修することは可能です。(仙台高専の場合)
まず、自分が所属している高専で可能なのか確認してみてください。
私は5年次に、他学科の科目を2科目履修しました。理由としては、大学編入する際の単位変換に役立つと思ったからです。自分が興味のある科目を履修することはおススメです!
ただし、自分が所属するコース・学科の時間割に科目の授業時間が被っていると履修できないので注意しましょう。また、他学科・コースの科目を履修する際は担任や教務などに手続きをしなければいけない場合があるのでその部分も確認してみてください!

卒業時に思わぬ落とし穴!?~単位についてのお話~

高専の卒業単位数は167単位以上と定められています。(商船高専は147単位以上)
167単位をすべて必修科目でとる高専もあれば、必修科目と選択科目を組み合わせて167単位以上とる高専があります。注意していただきたいのは、後者の場合です。
こちらも仙台高専を例に紹介します。
仙台高専の卒業単位は一般科目と専門科目を合わせて167単位以上となっていますが、そのうち、一般科目を75単位以上、82単位以上を専門科目で履修しなけらばなりません。また、このままでは167単位を超過しないのでその他で10単位履修する必要があります。
うっかり、一般科目で75単位、専門科目で82単位とって安心していると、卒業できない事態になってしまいます。そのため、10単位を別でとる必要があります。その手段が選択科目であったり、資格試験で得られる単位だったりします。残りの10単位は一般科目でも専門科目でもどちらでも大丈夫です。卒業単位を見据えて履修科目を決めるのが重要ということです。
卒業できないという事態にならないためにも、頭の片隅に入れておいてください。

まとめ

本記事では、高専における一般科目と専門科目の違いや学年別の授業カリキュラム、卒業単位について紹介しました。新高専生、高専低学年の学生にはぜひ知っていただきたい内容です。
卒業まで苦労しないためにもどの科目にも力を注ぐようにしましょう!
皆さんの高専生活がより有意義なものになることを祈っています。

ライター情報

仙台高専マテリアル環境コースに在学。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしています。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。

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