
高専入試で「落ちやすい人」の共通点とは?
結論からいうと、高専入試で落ちやすい人は「がんばっているのに、方向性がずれている人」です。勉強時間が短いから落ちる、というより、「推薦だけをがんばりすぎて学力入試を後回し」「情報を調べないまま自己流で進める」といった、戦略のミスが大きな原因になっています。
高専入試は、普通高校よりも情報が少なく、先生や周りの大人も詳しくないことが多いです。
そのぶん、「募集要項を読み込む」「先輩や専門家の話を聞く」といった情報収集の姿勢が、合否を分けやすくなります。
これから紹介する5つの特徴は、どれも「やってしまいがち」なものばかりです。
当てはまるものがあったら落ち込む必要はありません。 今から修正していけば、まだまだ十分に高専合格を狙うことができます。
特徴① 推薦入試対策だけに時間をかけすぎる
推薦入試は「受かったらラッキー」が基本
推薦入試の対策自体は、とても大事です。
しかし、面接や小論文の対策だけに冬の時間を全部使ってしまう人は、かなり危険です。
多くの国立高専では、推薦入試の合否は
- 調査書(評定・欠席・活動実績など)が大部分
- 面接や小論文の配点は、全体の一部だけ
という形になっています。
つまり、出願した時点で、調査書の点数でだいたいの合否は決まってしまい、面接や小論文で巻き返せる範囲はそこまで大きくありません。
それなのに、冬の勉強時間を「面接練習だけ」「小論文だけ」で埋めてしまうと、学力入試の勉強が全く進まないまま推薦本番を迎えることになります。
そしてもし不合格だったとき、時間も気持ちも残っていない…という状態になりやすいのです。
推薦後すぐに学力入試へ切り替えるコツ
高専入試の本番は、あくまで学力入試です。
推薦は「受かったらラッキー、ダメでも学力入試で決める」と考えておいたほうが合格率は上がります。
具体的には、
- 推薦対策は「必要最低限」にしぼる
- 面接の基本質問への準備
- 志望動機・自己PRの整理
- それ以外の時間は、学力入試の5教科の勉強にあてる
というバランスを意識しましょう。
また、推薦入試の翌日からは、気持ちを切り替えてすぐに学力入試対策に戻ることが大切です。
「結果が出てからでいいや」と考えていると、結果発表までの数日〜1週間が丸々ムダになってしまいます。
「推薦の日も、学力入試の途中経過」と考えれば、落ち着いて受験に向かうことができます。
特徴② アドミッションポリシーと募集要項を読んでいない
アドミッションポリシーとは?高専が求める学生像
アドミッションポリシーとは「この学校は、こういう学生に来てほしい」という高専が求める学生像のことです。
多くの高専では、公式サイトに
- リーダーシップのある学生
- ものづくりが好きな学生
- 地域や社会に貢献したい学生
といった形で、かなり具体的に書いてくれています。
「アドミッションポリシーって何ですか?」という状態のままだと、そもそも自分がその高専に向いているのか、どうアピールすればいいのかもわかりません。
特に推薦入試では、面接でアドミッションポリシーに関連した質問が出ることも多いので、内容を知らないまま本番を迎えるのは危険です。
募集要項で必ず確認したいポイント
アドミッションポリシーとセットで、必ず読んでおきたいのが募集要項です。
募集要項には、
- 出願条件(評定の基準、欠席日数など)
- 試験日程・会場
- 試験科目・配点・傾斜配点の有無
など、合格戦略を立てるうえで重要な情報がすべてまとまっています。
ここを読まずに、塾やネットの情報だけで受験勉強を進めてしまうと、
「実は自分の評定では推薦が出せない」
「志望校だけ数学に傾斜がかかっていた」
といった致命的な見落としにつながります。
まずは志望高専の公式サイトから募集要項をダウンロードして、印刷して書き込みながら読むのがおすすめです。
気になったところには線を引いたり、ふせんを貼ったりして、自分だけの「受験の取扱説明書」にしていきましょう。
特徴③ 傾斜配点を知らずに勉強計画を立てている
傾斜配点の仕組みをやさしく解説
**傾斜配点(けいしゃはい点)**とは、特定の科目の点数に倍率をかけて、合計点を計算する仕組みのことです。
高専の学力入試では、基本的に5教科・各100点の合計500点満点ですが、
- 数学を2倍にする
- 数学と英語を1.5倍にする
といった形で、科目ごとに重み付けをしている高専もあります。
例えば数学に2倍の傾斜がかかる場合、
- 数学80点 → 160点として扱われる
- 数学60点 → 120点として扱われる
となり、その差は40点にも広がります。
これは、他の科目で20点以上差をつけるのと同じくらい大きい差になります。
傾斜配点があるのに知らないまま勉強すると、本来は最優先で伸ばすべき科目に時間をかけきれず、合格ラインに届かない…ということになりかねません。
配点から逆算した科目ごとの優先順位のつけ方
対策としては、まず志望高専の募集要項で
- どの科目が何点満点か
- 傾斜配点があるか(「数学×2」など)
を必ずチェックしましょう。
そのうえで、
- 傾斜がかかっている科目(多くは数学・英語)を最優先で仕上げる
- 理科・国語・社会は「大きく落とさないライン」を狙って効率的に得点する
- 過去問演習では、傾斜科目の復習・解き直しに時間を多めに使う
という順番で勉強時間を配分していきます。
「全部まんべんなくやりたい…」という気持ちも分かりますが、受験は時間との戦いです。
限られた時間の中で合格を勝ち取りたいなら、配点という「ルール」を味方につけることがとても大切です。

特徴④ 学校の授業まかせでは応用演習が足りない
入試までに終わらせたい基礎と予習の範囲
高専入試の数学や理科では、中3後半の内容からも多く出題されます。
たとえば、
- 相似(図形の拡大・縮小、比の計算)
- 三平方の定理
- 関数と図形の融合問題
などは、入試本番でも頻出の単元です。
しかし、学校の授業ペースだと、これらの単元を1月以降に習い始める中学校も少なくありません。
そうなると、「習ったばかりで計算の基本に慣れるだけで精一杯」、「応用問題に取り組む時間がほとんどない」という状況になり、入試本番で歯が立たなくなることもあります。
だからこそ、高専を本気で目指す人は、中3の秋〜冬までに中学範囲の基礎を一通り終わらせておくことが理想です。
忙しくてもできる高専入試向け演習の進め方
とはいえ、「部活や学校行事で忙しくて、予習なんて無理…」という人も多いと思います。
そんなときは、次のようなステップで少しずつ前倒ししていきましょう。
- 教科書レベルの例題・基本問題を先に解いておく
- 学校の授業で同じ単元を習ったときに、「あ、前にやったやつだ」と復習感覚で聞く
- 塾や市販の問題集で、応用〜入試レベルの問題に少しずつ挑戦する
この流れを作っておくと、授業を「初めて聞く場」ではなく「復習と確認の場」に変えることができます。結果として、応用問題にまわせる時間が増え、入試レベルの演習量が大きく変わってきます。
特徴⑤ 入試直前に学校を休んで勉強しようとしている
「学校を休めば有利」ではない理由
入試直前になると、
「最後のテストは内申に関係ないし、学校を休んで勉強したほうが得では?」
「インフルやコロナをもらいたくないから、早めに休んだほうが安全では?」
と考える人もいます。
気持ちはとてもよく分かりますが、むしろ危険なケースになることも多いです。
なぜかというと、
- 先生から見ると「勝手に休んだ自己中心的な行動」に見えてしまう
- 親御さんや先生と対立し、家庭や学校でギクシャクした雰囲気になる
- そのストレスで、かえって勉強に集中できなくなる
といった「見えないマイナス」が大きくなるからです。
高専に入ってからも、寮生活やグループ活動など、集団の中でうまくやっていく力がとても大事になります。入試直前の行動は、そうした適性があるかどうかを自分で確かめる機会でもあります。
親・先生とぶつからない受験期の過ごし方
どうしても学校を休みたい事情がある場合は、
- まず親御さんとじっくり話す
- そのうえで、担任の先生ともきちんと相談する
というステップを踏みましょう。
一方的に「もう行きません」と伝えるのではなく、 「こういう不安があって、こういう勉強計画を考えています」と、理由と具体的な計画をセットで説明すると、相手も納得しやすくなります。
また、学校を休まなくても、
- 放課後〜夜の時間をうまく使う
- スマホ時間を削って勉強時間にあてる
- 休日に「本番シミュレーションの日」をつくる
など、工夫できることはたくさんあります。
大事なのは、「周りと大きくぶつからず、穏やかに受験まで走り切ること」です。
合格発表までのメンタルを守るためにも、周囲との関係性を大事にしながら受験期を乗り切りましょう。
今日からできる「落ちない受験生」への3ステップ
情報を集める・計画を見直す・相談する
ここまでの特徴を読んで、「ちょっと当てはまるかも…」と感じた人もいるはずです。
そんな人におすすめしたいのが、次の3ステップです。
- 情報を集める
志望高専の募集要項・アドミッションポリシーを読み、入試制度や配点のルールを正しく理解する。 - 計画を見直す
推薦に全振りしていないか、傾斜配点科目に十分な時間を割けているか、中3内容の予習はどこまで進んでいるかを確認する。 - 相談する
学校の先生や、塾・高専専門塾の先生、すでに高専に通っている先輩など、詳しい人に不安をぶつけてアドバイスをもらう。
この3つを意識するだけでも、「頑張っているのに空回りしてしまう受験生」から一歩抜け出すことができます。
無料勉強相談って??
「高専に行ってみたいけど、勉強についていけるか心配…」、「受験対策は何から始めればいいの?」と不安に感じている方もいるかもしれません。そんな方のために、高専入試に特化した学習塾・ナレッジスターでは無料の勉強相談を実施しています。高専受験のプロである講師陣が、一人ひとりの状況に合わせてアドバイスしますので、安心してご相談ください。あなたもナレッジスターと一緒に、高専合格への一歩を踏み出してみませんか?きっと夢への道筋が見えてくるはずです!
まとめ:高専入試は情報と戦略で合格が決まる
高専入試で落ちやすい人の特徴は、どれも「知らなかった」「なんとなくそうしていた」で陥りやすいものばかりです。
裏を返せば、今日知って、今日から行動を変えれば、まだまだ巻き返すには十分に間に合います。
推薦入試に全てをかけるのではなく、学力入試を本命に捉えましょう。
アドミッションポリシーと募集要項を読み込み、傾斜配点をふまえた勉強の優先順位を決めることで学校の授業より少し早く予習を進め、応用演習に時間を使えるようになります。
そして、周りとの関係を大事にしながら、最後まで受験を走り切りましょう!
こうした一つひとつの行動が、高専合格への大きな一歩になります。
【高専Q&A】高専入試で失敗しないためのよくある質問
Q1:推薦入試と学力入試、どちらを優先すべき?
A. 基本は学力入試を本命にして、推薦は「受かったらラッキー」くらいの気持ちで受けるのがおすすめです。
推薦対策に時間をかけすぎると、落ちたときに学力入試までの勉強時間と気力が足りなくなりやすいからです。
Q2:アドミッションポリシーはどこで確認できますか?
A. 各高専の公式サイトに掲載されています。
「◯◯高専 アドミッションポリシー」と検索するか、募集要項のPDFからリンクされていることも多いので、必ず一度は目を通しておきましょう。
Q3:傾斜配点がない高専では、どう勉強を配分する?
A. 傾斜配点がない場合でも、全国的に数学・理科の重要度は高めです。
まずは数学・理科をしっかり固めつつ、英語・国語・社会を「大きく落とさないライン」まで仕上げるイメージでバランスを取るとよいでしょう。
Q4:独学が不安なとき、どんなサポートを使えばいい?
A. 学校の先生や地域の塾に相談するのはもちろん、高専専門の塾やオンライン講座を活用するのも一つの方法です。過去問の使い方や、高専特有の問題への慣れ方など、高専ならではの勉強の仕方を教えてもらえると、遠回りを減らすことができます。

ライター情報
仙台高専マテリアル環境コースを卒業。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしていました。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。










