5年制の工業系の学校として有名な高専。高専を卒業すると短大卒と同様の準学士を得られます。
しかし高専に入学しても、大学や院で得られる学士や修士を取得できることをご存知ですか?
今回は高専から学士を取る方法について説明していきます。
高専とは
まずは高専について解説します。
高専とは5年制の工業系の学校です。
高専の一番の特徴として、高校1年生の内から受けられる専門的な授業が挙げられます。
現場で即戦力として扱われるエンジニアとしての力を育むことを目的とした授業となっており、実習の授業では、最新の先端機器の実験設備を使用したりなど、実践的なキャリア教育を施しています。
技術を身に着けられるように、積極的にインターンや工場見学を行ったり、実技の授業や試験など、現場を想定した授業を行ったりするカリキュラムが組まれています。
また、授業は教授や准教授が担当します。懇切丁寧に解説されるので基礎から理解が深まりやすく、学生にも好評です。
若いうちから培われた実践的な高い能力は、企業や大学から高く評価されています。
このような特色に伴い、進路にも大きな特徴があります。
高専からの進学
進学を選ぶ場合、工業系大学への編入と専攻科と呼ばれる学科に進む選択肢があります。
難関と言われる国立大学や東大、京大、東工大などへの編入ができる所は高専の強みです。
今回はこの編入の部分を詳しく説明していきます。
高専からの就職
高専では、1人に対して中小零細企業から大企業まで、10社ほど求人が届きます。
2019年の情報では、大学生が13.1社にエントリーシートを提出し1.7社から内定が出されている、という調査結果があります。
しかし、高専では自らエントリーシートを出さずとも1人当たり約10社から求人が出されます。
一般的な大学生の求人倍率と比較すると、非常に高い求人倍率です。
このように、即戦力として扱える高専卒を求める会社は多いため、この求人量を例年保っています。
学校側の手厚いサポートも相まって就職難と冠されている今でも就職率が100%と高水準を維持しています。
高専生が大卒の資格を得るには
大卒の資格を持っていると、高度な専門職以外の企業で応募条件の学歴条件を満たすことは周知の事実です。
給料の面で見ても、平均初任給も高専卒よりも大卒の方が2万6300円も給料が高いため有利ともいえます。
高専は就職に有利と言いますが、それは技術職にまつわる話です。確かに専門的な知識を要する職業であれば求人も多く、学校のサポートも豊富です。
しかし、別の職業に就くとなると高専卒よりも大卒のほうが求人数や求人数を鑑みると有利になります。
そのため、最終学歴を高専卒ではなく大卒にしたいと希望する人が毎年後を絶ちません。
また、高専での5年間だけではなくさらに専門的なことを学ぶために進学を選択する人もいます。
高専は就職者が多いイメージですが、高専の進学率は約46%と就職する人と進学する人の人数は半々となっています。
高専に5年間通うだけでは高専卒、準学士の学位となります。
高専生が大卒の資格を取るためには大学に編入するか専攻科に進学するかの二択です。
高専から大学へ
高専から大学に進学するには2つの手段があります。
一つ目は高専の3年次から共通テストを受ける手段です。高校生と同じ様に受験をする方法ですが、高専から共通テストを受ける学生はほとんどいません。
何故かというと、高専では受験のための勉強をしないからです。高専は専門的な授業の時間を増やすために、文系科目や副教科の単位を減らしています。高専には家庭科や技術の授業がありません。また大学受験を受けない前提で授業を進めているため、高校よりも詳しい説明をしなかったり過去問を扱わなかったりします。
二つ目は高専で5年次まで学んだ後に大学へ編入学する手段です。今回はこの編入学について詳しく解説していきます。
編入の手続き
高専からは、編入を実践している大学に編入することができます。理系の学科
有名大学として名高い東工大や東大などにも編入することができる編入学試験。
高専から大学に編入する方法は2つあります。
それは推薦編入と一般編入です。
推薦編入
ほとんどの学校で学校内での順位が重要視されます。また、高専での成績が主といって差し支えないです。推薦入試を目指すならば1年生から成績上位であることを求める学校も多く存在します。
学校によって求める順位や成績が違います。とある学校では学年の上位40%の成績を3年生からとり続けていると推薦条件を満たすことができます。
TOEICなどの公的な試験のスコアも条件とする学校もあります。
その情報は、進路学習の際に渡される冊子に情報が書かれているので見逃さないようにしましょう。
一般編入
筆答試験で合否が決まります。
数学や物理などの理系科目のほかに専門科目が出題されることが多いです。
そのため範囲がとても広くなります。そのため日頃から勉強する習慣づけが大切です。
共通テストと同じ様に、英語の試験とTOEICが深く結びついている大学も多くあります。
TOEICの点数を英語点として換算したり、一定以上の点数を取っていることが出願条件にしたりする大学もあります。
編入試験の勉強だけでなくTOEICに向けた勉強も忘れずに勉強しましょう。
編入学試験の対策
高専には大学編入試験の過去問が保管されています。
事務課に問い合わせると閲覧ができるので、積極的に制度を活用していきましょう。
過去問解いて問題の傾向を把握しましょう。
編入のメリットデメリット
大学へ編入するかどうか迷っているひとのためにメリットとデメリットを言及します。
メリット
大卒の資格が得られる
先ほど言及したように、大卒の資格を得ると就職ができる職業の幅が広がります。また、大卒以上の学歴を持つ人しか募集しない会社も多く存在します。
高専に入ってから将来の夢が変わり、学んでいたことと全く違う職業に就きたい場合は大卒の資格が大いに役立ちます。特に大企業に就職した場合はほぼ必須と言えるでしょう。
論文を多く書ける
高専を卒業するためには論文を書かなければいけません。大学に編入してからも論文を書くため、同学年の大学生よりも一本多く論文を書き上げていることになります。
時間に余裕ができる
20歳で卒業する高専と違い、大学へ進学すれば就職するまでのモラトリアムが増えます。
そのため、学業に励める時間や趣味に費やせる時間を増やせます。
この時間を有効活用して資格の取得をしたり、自分探しの旅など自分を磨くことができます。
複数の大学を受験できる
編入学試験の日程が被らない限り複数校併願ができます。
試験の科目数も少ないため、文系科目が苦手な人でもレベルの高い大学を目指せます。
デメリット
確実に就職できない
高専からそのまま就職する場合、学校から斡旋された大量の求人があるためほぼ確実に内定を受けられます。
しかし大学に進学した場合、自ら就職先を探さないといけません。
主体的に就職先を探さないと卒業ギリギリまで内定が出なかったり、卒業しても手に職が就かない可能性も否めません。
学費が高い
高専と比べると圧倒的に高い大学の学費。
高専の授業料は1年間で234,600円ですが、国立大学の授業料は年額53万5,800円と約2倍もの差があります。
高専をそのまま卒業したり専攻科に進学するよりも、家計への負担は大きくなります。
大卒の資格を取るもう一つの方法、専攻科
専攻科とは?
専攻科とは高専の本科、つまりは5年生を卒業した後に進学できる2年制の学科です。
そこでは、本科よりもさらに高度な技術教育を行うことを目的としております。
課程を修了して大学評価・学位授与機構の定めた条件を満たした者は学士の資格を得ることができます。つまりは大卒と同等の資格が得られます。
専攻科の試験
専攻科に入学するためにも試験が必要です。
その試験は、推薦選抜と学力選抜の2種類に分かれます。
推薦選抜では高専本科での成績が重要視されます。
点数や成績など学校によって条件は違いますが、募集要項に載っているため確認しておきましょう。
学力選抜はほとんどの学科で専門科目や数学が出題されます。また面接も実施されます。
専門科目は学科によって変わるので募集要項を確認しましょう。
日程や受験料なども募集要項に乗っております。ネットで検索すると募集要項がでてくるので、受験を予定している場合は忘れずに読みましょう。
専攻科のメリットデメリット
メリット
就職しやすい
高専の本科と同じように企業から求人がくるため就職に関しては安泰です。
学費が安い
本科と同じく授業料が23万5,000円と大学の学費と比べると格安です。
国立大学に行くよりも約半額ほど安く、経済的負担が小さいことがメリットです。
研究を継続できる
本科の時の卒業研究を引き継ぐことができます。
そのため同学年の大学生よりも、その分野に対して長い時間をかけて理解を深めることが可能です。
デメリット
研究施設が少ない
高専の設備は、大学と比べると種類が少ないです。
なぜかと言うと、設備の購入資金となる高専の運営費の75%を国からの助成金が占めているからです。
国からの研究費は高校<高専<大学の順になっているため大学と比較すると設備の数が劣ってしまいます。
環境が同じ
7年間同じ環境にいるため刺激が少なく、知子や多角的な見方を得ることができません。
また、大学で得られる豊富な人脈なども手に入りにくいです。
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