普通高校と高専の大きな違いとして、「学費」があります。
今日は、国立高専の学費について、また奨学金制度について紹介していきます。
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普通高校と高専の学費を比較
一般の県立高校は、高校無償化が導入され、学費が実質無料になるところがある一方で、高専はどうなっているのでしょうか?
今回は一般的な国立高専の学費に関して紹介します。
高専在学中にかかる費用としては大きく以下の2つがあります。
①入学金:約84,600円
②授業料:約234,600円/年(前期117,300円・後期117,300円)
普通高校と高専の入学金を比較
入学金は、高専に合格し、入学が決定した際に支払う費用です。
一般の県立高校入学時にかかる費用:5,650円なので、高専の方が高額となります。
私立の高校では、平均約160,000円になるので、私立高校に近い価格帯であることがわかります。
普通高校と高専の授業料を比較
高専は前期(4月〜9月)と、後期(10月〜3月)で2期に分けられ、前期後期ともに117,300円となっています。
1年間で234,600円になるので3年間で703,800円になります。
公立高校の学費は月額で全国一律9,900円/月となっているので、1年間で118,800円、3年間で356,400円になります。
奨学金を使用した場合の授業料を比較
「高等学校等就学支援金制度」という奨学金制度があり、世帯の収入などのある一定の条件を満たした家庭であれば、高校の学費が月額9,900円支給されます。
つまり、この奨学金制度を利用すれば、普通高校は入学金の5,650円のみで授業が受けられるということになります。
これは高専も、本科1〜3年生の間は対象となります。
しかし、高専の授業料は奨学金制度を利用しても1か月あたり9,650円になってしまいます。
よりイメージしやすくするために、一般の高校に通う予定の「Aさん」と、高専に通う予定の「Bさん」の学費を比べてみましょう。
グラフを見てみると、高専の学費は一般高校と比べてとても高額に見えますね。
「やっぱり高専って学費が高いから無理かもしれないな…」
そう思ったそこのあなた!
高専での学費を考えるときは、就職までにかかる学費として考えてください。
なぜなら、昨今では多くの高校生が大学進学を選択します。
「Aさん」も大学に進学する予定です。
実際に考えるべきなのは、高専の5年間と、大学に4年間年間通学した際にかかるお金の比較です。
それでは次に、一般高校から大学に入った場合と、高専に5年間通った場合を比較していきます。
大学と高専で比べる学費
文部科学省で決められてる、国立大学の年間の学費は535,800円となっています。入学金は282,000円です。
よって大学を卒業するまでの4年間で、2,425,200円の学費がかかります。
一方で、高専では、本科1年生から5年生まで、年間の学費は234,600円です。
入学金を含め、5年間では、901,200円となります。
数字がたくさん出てきてややこしいですか?
では、普通高校から、国立大学に通った「Aさん」の学費と、高専に通う「Bさん」の学費の比較を見てみましょう。
ここでは、高専の本科5年までの期間を基準に、一般の高校から大学4年生までにかかる総額で比較を行いました。
すると、高校時点では、圧倒的に学費がかかっていた高専に通う「Bさん」の学費ですが、大学の4年生まで通った「Aさん」と比べると、約150万ほどの差が出ています。
こう見てみると、高専の学費は初期費用こそ高いものの、社会に出るまでにかかるお金と、長期的に考えればそれほど高くないともいえるでしょう。
実際高専に通った私ですが、高専に受かったというと「親孝行ですね~」とよく言われていました。
おそらく、社会に出るまでの総額を考えると、150万円の差ができるためではないでしょうか。
国立大学でも、これほどの学費がかかるため、私立の大学ともなると、この2倍ほどの金額が考えられるでしょう。
奨学金の対象でもある高専生
学費については、実際には世帯年収や、家族の事情が大きくかかわってきます。
また、自分でバイトなどでお金を得て、学費を払おうとしている学生もいるかもしれません。
そんな学生に知って欲しいのが、高専が扱う奨学金である、「日本学生支援機構奨学金」と「(社・財団法人、企業等による)各種奨学金」です。
日本学生支援機構奨学金
日本学生支援機構では、学業・人物ともに優秀で、経済的理由により学資の支弁が困難と認められる学生に対し奨学金を貸与してくれます。
つまり、
世帯収入の一定条件を満たしていて、ある程度成績が良ければ奨学金をもらえる
ということです。
毎年、4月に申請があり、申請に関する情報も高専などのホームぺージで得ることもできます。
また、4年生からは給付型の奨学金制度の対象にもなります。
学費について心配になった方でも、この制度を用いれば安心して高専生活を送れると思います。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
(社・財団法人、企業等による)各種奨学金
各種奨学金では、財団などによって、援助を受けることのできる奨学金制度です。
奨学金を受け取る条件としては様々ですが、研究や将来への意欲、学力の優秀さなどが条件になるようです。
勉強や研究も頑張れば、奨学金ももらえるということで、自分の知識や経験を得ながら、お金の心配も小さくなり、一石二鳥ですね。
国立高等専門学校機構(高専機構)が公開している情報によれば、各学校によっても奨学金の種類や数も違うようですので、ぜひ、気になる高専の奨学金制度も調べてみてください。
もちろん、学校によって基準や条件などは違うと思いますが、入学金や、授業料の免除制度もあります。
自分の家庭にあった制度は必ず見つかると思いますので、ぜひ、探してみてください。
ここまでの内容で、ご不明な点はございましたか?
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もし、本記事で分からないことがございましたら、どんなに些細なことでも
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高専卒業後の進路にかかるお金
高専での学費が決して高くはないことが明らかになったところで、学費以外での利点も紹介していきます。
学生生活においてかかる費用は学費だけではありません。
実は就職活動で特にお金がかかります。その視点からお話していきます。
高専生と大学生の就活
高専では、おおよそ本科4年生の後半から5年生の前半までに就活を行うことが大半です。
就活の流れとしては、まず、先生との面談や、企業の説明会を通じて、自分の気になる企業を発見します。
その後、企業と先生に面接などの日程を組んでもらい、選考に進んでいきます。
エントリーシートや、面接なども、これまで何人も企業に学生を送り込んできた先生にチェックしてもらい、着実に選考に進みます。大手企業に入れる確率も大きいです。
一方大学では、近年の明確な就活の時期というのは多様化していますが、遅くても大学3年生くらいから、気になる企業のインターンなどに行きます。
そこでは、エントリーシートなどを書き、インターンの選考を受けに行きます。この過程が本当に大変です。
もちろん、全ての企業の選考に進むことは難しく、さらに大手企業に進むことはさらに大変です。
また、面接やインターン、会社説明会に多数応募し参加することで、金銭的にも大きな負担になります。
高専では初期段階からしっかりサポートしてもらえるので、金銭的にも優しいです。
高専の進学
進学についても高専からのメリットがあります。高専における進学は、2パターンあります。
1つ目が、本科5年生を卒業したあと、大学3年次に編入する。
2つ目が、高専の本科5年を卒業した後、専攻科に進学し、その後大学院に入学するパターンです。
1つ目である、本科5年生を卒業したあと、大学に編入することでまた高専とは違う視点から、専門をとらえなおすこともできますし、編入後にも高専の編入組コミュニティが各大学にあったり、楽しく進学をすることができます。
また、大学院への進学でも、国立大学への進学率がとても高いです。旧帝大への進学率も高く、高専を卒業した後も、大学院で研究を極める学生もいます。
▼高専の進路や特徴についてはこちらで詳しくまとめているので、興味がある方はぜひ!
【結論】高専の学費についての心配は必要ない!
今回は高専の学費や奨学金、就活で必要になる費用について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
高校から学費がかかってしまう高専ですが、長期的に見れば一般高校から大学に進学するより、実はお安くなります。また、学費を自分で出さないといけないんです…という方にはぜひ、奨学金を駆使して、安心して学校に通って欲しいです。
私自身も、学費で頭を悩ませた時期がありましたら、現在の社会には学生にも優しい仕組みがたくさんあります。
また、奨学金に関しては、勉強への意欲が高いポイントを占めているので、バイトに明け暮れるのではなく、勉強をたくさんして、がっつり奨学金をもらっちゃいましょう!
それでは最後に、この記事のまとめです
- 高専の学費は高校と比べると高い
- 高専と大学進学を比べると安くなる
- 就活、進学の面でもメリットがたくさんある高専
- 奨学金制度を利用して安心した学校生活を送ろう
私自身は、高専を卒業後、専攻科に進学、そこから大学院に進学しています。
専攻科に進学した時点では、バイトをはじめ自身で学費を納め始めました。その時「自分でお金を出しながら勉強する意識」が生まれ、払った分だけ絶対学校からなんらかの利益を得てやる!という意識が出てきました。
その結果、勉強を頑張った時期もあれば、それ以外の活動に注力し、何とかして自分の支払った額を取り戻そうとしてました(笑)
親御さんから学費をいただいて勉強するのもいいですが、自分を崖っぷちに立たせて勉強をすることも悪くないと思います。
その後、大学院に進学しましたが、その時も奨学金制度を使いながら自分で学費を納めながら、授業料免除の申請をし通過したこともあります。
学費は大きな額ですが、それを自分でなんとかすることも勉強になります。
ぜひ、情報をたくさん集めて、自分にはどういった方法があっているのか見つけてみてください。
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今回は呉高専環境都市工学科、専攻科卒、下岡優希が担当しました。