知らないとヤバい!?高専に入る前に知っておきたかったこと5選

はじめに

「憧れの高専ライフが始まって、5年間とっても楽しみ!」 という高専生や、 「高専入試に向けてこれから頑張るぞ!」 と、進路を考える中学生の皆さん。
専門的なことを学ぶことができ、ユニークな高専生活に憧れる一方で、「実際どんなところなんだろう?」、「入ってから後悔しないかな?」
 なんて不安もありませんか?
実は、高専に入ってから「これもっと早く知りたかった!」、「こんなこと聞いてなかった!」と後になって、後悔する人が少なくないんです。
ただでさえ、事前情報の少ない高専という特殊な学校。今回は、入学後にそんな後悔をしないために、「高専に入る前に知っておきたかったこと5選」をご紹介します!

①「5年間は長い」

「何を当たり前のことを…」と思うかもしれません。ですが、5年という歳月はあっという間なようで、実際にはとてつもなく長い時間です。
2020年に高専を入学し、2025年春に高専を卒業した筆者を例にすると、この5年間で

  • コロナ禍
  • 生成AI技術の普及
  • 物価の高騰
  • 3回の内閣再編
  • 大谷翔平の大活躍… 

などなど、5年前では想像もできなかったような変化がたくさんあり、社会の様子も大きく変わっています。
 特に、専門分野の技術を学ぶ高専生にとって、生成AIなどのイノベーションによる社会の変化は、これからの高専在学中のみならず、高専を卒業したあとの人生を大きく左右します。
のんびりしていて、いつの間にか社会の波に置いていかれてしまっていた…
という後悔をしないためにも、「5年という歳月の重み」と「社会の変化に対するアンテナ」を大切に、さまざまな決断を乗り越えてほしいと思います!

②「大学とは似ているようで違う」

高専という教育機関の紹介を見ると

「高専は大学と同じで1コマ90分授業
「高専生は『生徒』ではなく、大学生と同じ『学生』」

なんて書いてあることはありませんか?

確かに、高専と高校では卒業までの年数の時点で異なり、高専に大学と似た要素があることは事実です。しかし、実際のところ高専と大学は全然違うんです。私自身、実際に大学に編入した後に全然違うな、と感じたことはやはり「授業」です。
高専では、否応なしに指定された時間割に従い授業を受けていましたが、大学には「履修登録」というシステムがあり、完全オリジナルの時間割を組むことができるんです(これは有名ですね)。
 また、自分の専攻ではない先生の授業や、自分が所属する学科の専門科目ではない人文科学系の授業なども履修することができ、「自由度の高い学習」をできるのは、やはり大学の特筆すべきポイントです!さらに、大学に「自分のロッカーやクラスの教室がない」ことが大学編入してみて個人的にかなりの衝撃でした(テキストの運搬が少し大変です)。
改めて、「高専という教育機関は、高校とも大学とも似て非なるもの」なんです。
そんな特別な空間で専門教育を受けていることに誇りと自信を持ち、高専生活を謳歌してくださいね!

③「成績はめちゃくちゃ大事」

 実はこれ、私自信本当に後悔しています。

「高専って単位取れれば卒業できるし、赤点(60点未満)取らなければいいや~」という考え方、とっても危険なんです。

 というのも、「高専の成績」は、様々な用途に用いられます。

  • 2年次以降のコース・学科配属(高専に依る)
  • 編入学試験の内申書
  • 高学年次の研究室配属
  • 海外留学の条件
  • 奨学金給付の基準
  • 転科制度の基準…etc.

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます!

行きたいコース·学科に行けなくなる……!?

 高専によっては、1年次は全員共通のカリキュラムを履修し、2年次以降に「コース」や「学科」といった専門分野に分かれる仕組みを取っている場合があります。この際、第一希望の学科に配属されるかどうかは自分の成績次第になります。倍率が高い学科に関しては、成績が悪いと希望通りの学科に配属がされないことがあります。

 この制度の難しいところは、まだ進路や専門を明確に決められない1年次の段階で、既に「成績」が将来を左右する分岐点になっている点です。「とりあえず単位だけ取っておけばいいや」と思っていると、気づかぬうちに自分の可能性を狭めてしまっているというケースも少なくありません。
 また、配属されたコースによっては、学べる専門分野や卒業後の進路にも違いが出てくるため、「思っていたのと違う」、「やりたいこととずれている」と感じることもあるかもしれません。そういったミスマッチを防ぐためにも、1年次からある程度意識を持って、安定した成績を取っておくことが非常に重要なのです。
 高専では、入学してから専門性が一気に高まり、自分の関心分野が徐々に見えてくる人も多いと思います。そのときに選択肢を狭めず、「行きたい分野を自分で選べる状態」を保つためにも、日頃からの学業への取り組みが将来的に大きな意味を持ってくるのです。

編入試験や研究室配属に影響する

 はじめの二つはよく耳にするかもしれませんね。高専を卒業したあとに大学へ編入しよう!というとき、推薦入試ではもちろん、一般入試でも、成績証明書(内申書)の提出を求められる場合がほとんどです。また、編入学試験の筆記、内申書、面接の配点というのは、公開されていないことが多いです。在学中の成績が悪いと「もしかして成績の配点が高く設定されていて筆記で取り返せないんじゃないか?」という不安要素を残したまま受験することとなり、精神的にも追い詰められてしまう…なんてこともあるかもしれません。
(近年の大学編入試験事情として「推薦入試のみを実施し、一般入試を廃止もしくは枠を少なくする」という大学がいくつか出始めており、それらに追随する形で今後もそういった大学が増えたり、内申書を重視する傾向が増加したりすると個人的に予想しています。)
 そして、二つ目の研究室配属について。知らない人のために少し説明すると、研究室配属とは、主に高専の4,5年生の段階で、卒業のための研究・制作をすることなどを目的に、学科内のどの先生のもとで研究活動するのかを決定する一大イベントです。
学科の先生にはそれぞれ「専門分野」があり、研究対象とするフィールドが全く違います。どの研究室に所属したいかについて希望を取ります。
 しかし研究室には定員が存在するため、希望者が定員を上回った場合、第1希望の研究室に配属されないこともよくあります。何を見て研究室の配属を決めるかというと、1年次からの成績が判断材料となり、成績順に研究室が決まります。

卒業研究では、所属先の先生の専門分野に近い研究テーマを取り扱うことが多く、
「僕はAIの研究をしたかったけど、先生の専門とまるで違うから全く興味のない研究をせざるをえない…」なんてこともあります。

成績は、「卒業後の進路」や「将来設計」にも大きく影響します。

奨学金や留学などの選択肢も左右される

 また、意外と見落とされてしまいますが「奨学金」や「留学」にも、成績が関わってきます。

例えば「成績が上位何パーセント以上で給付」や、「学業成績が優秀な者に留学を許可する」といった要件が課されるケースがあり、成績が悪いと「奨学金の取り消し」などに繋がってしまうこともあり得ます。。。
他にも、ケースとしては少ないかもしれませんが、同じ高専の別の学科に途中で変更したい!というときに利用する「転科制度」というものがあり、私が所属していた高専では
「所属学科内の成績が上位1/4以上を少なくとも1年間継続している」という成績要件が存在していました。
以上のように、意外と高専の成績は大事です。
決して「成績が絶対の正義」というプレッシャーを与えるわけでなく、成績を取っていないと損をしてしまうことがある、逆に、ポジティブに言い換えると

「成績を取っていれば、余計な不安やリスクを減らし、将来の幅を広げることにもつながる」

ということを伝えたいです!これから高専に入る人は是非頭の片隅に置いていて欲しいと思います!!

④「英語は自学自習が必須」

 まず初めに、ハッキリと言いましょう。

「高専の授業をただ漠然と受けているだけで、英語力は伸びません!」

 中学までは、「教科書に沿って文章を読み、新しい文法を覚え、出てくる単語を都度覚えていく」
という勉強で乗り越えることができたと思いますが、高専以降の英語学習はそう簡単ではありません。
一般に、大学受験を志す世の高校生は、学習塾や英語の参考書を駆使し、学校の授業外で学習を重ねることによって、大学入試で戦える、実際に使える英語を身に着けています。
 これは①の項にも通ずるところはありますが、高校生が「大学受験」という明確な目標を持って勉強するのに対し、高専生は、5年間という期間の長さから、将来のことを考えるのが後回しになりがちです。そして、英語に限らず受動的な学習(授業に出て課題を解くだけ、など)で完結してしまい、実力が身につかないことが往々にしてあります。

 詳細は割愛しますが「英語」という語学は

  • 継続的な単語学習
  • 文法・英文解釈
  • 長文演習とその復習

など、1週間に1,2コマの授業では到底カバーしきれない「量」が不可欠な分野です。
もしも、大学編入や留学、それ以外にも英語を使用するコミュニケーションを積極的に行っていきたい人は、英語学習における「自学自習の大切さ」を理解して、努力を積み重ねて欲しいと思います。

⑤「高専の外にはもっと広い世界が広がっている」

 高専生活を送っていくうえで、決して避けては通れないであろう

  • 早い進度と奥深い授業内容
  • 毎日のように増えていく実験レポートの山…

 高専生活の忙しさに押し潰されそうになったり、優秀な同級生と自分を比べて

「自分は落ちこぼれだ」
「自分は高専に向いていないんじゃないか….」

といった感情に苛まれることがあるかもしれません。
ですが、決して「そんなことはありません」
 どうしても、高専という良くも悪くも閉鎖的な環境に身を置くと、ネガティブになったり、価値観が凝り固まってしまうことはあります(筆者自身もそうでした)。
 しかし、高専という環境がちっぽけに感じるほど、高専の外に広がる世の中というものはとてつもなく大きく、多様な人々によって形作られています。
 もしも今「自分には高専が合っていないな」と感じる人がいたとしても、世の中には自分に合った環境が沢山ありますし、高専で身に着けた技術は、社会に出るころに驚くほど評価されることがほとんどです。
今高専に在学している高専生も、高専を志している受験生も、
狭いコミュニティのなかで、凝り固まった価値観に支配されることなく
「広い世界に目を向け、自信を持つことができれば、明るい未来が開ける」ということを覚えておいてほしいと思います!!

まとめ:高専生活を充実させるために

 いかがでしたでしょうか?

今回は「高専に入る前に知っておきたかったこと5選」を紹介しました!
この記事で紹介したことを入学前や入学してすぐの頃に知っておくことで、後悔のない、充実した高専生活を送ることができます。是非参考にしてみてください!高専塾ナレッジスターでは、現在の成績や高専入試、入学後の不安・悩みを無料で相談できます!高専生に寄り添い、高専を知り尽くしている日本有数の塾ですので、ぜひお気軽にご相談ください!

 ライター情報

ニックネーム:レイ
所属していた高専:明石高専 都市システム工学科
自己紹介:ナレッジスター塾講師。明石高専を卒業後、大学に3年次編入。最近のマイブームは、大学の最寄駅から学校までの3kmを散策しながら登校すること。

\新中3生向け!/