皆さんはロボットコンテスト(以下「ロボコン」)をご存じでしょうか?
1988年に第1回高専ロボコンが開催されてから、全国の高専が優勝を目指し、毎年異なる競技課題にアイデアを出し合いながらロボットを制作し、その成果を競っています。
このブログでは高専生なら誰しも知っているロボコンの優勝を目指す、大阪公立大学工業高等専門(以下「大阪高専」)ろぼっと俱楽部について、現役大阪高専生である私が、どこよりも詳しく解説します!
学生から見たロボコンとは
学生である私から見ると、ロボコンは高専生の特色を最大限に活かしたコンテストだと思います。
特に機械が好きな人が仲間と集まり、ロボットを制作する、言わば団体戦のスポーツのようです。実際に私も入部体験に行ったのですが、先輩方のロボコンに懸ける想いの強さを感じました。
あまり知られていないのですが、実はロボコンには地区予選があり、一つの地方につき二チームから四チームに絞られ、その後八つの地方が一か所に集まって全国大会となります。故にロボコン全国大会の出場自体、とても難易度が高く名誉なことでもあります!
また、ロボコンは毎年、協議課題が変わります。
昨年2022年は「ミラクル☆フライ〜空へ舞いあがれ!~」という、自作した紙飛行機をロボットが飛ばす、3年ぶりとなった対戦型競技でした。試合時間2分30秒間のガチ勝負となったそうです!大阪高専は特別賞(マブチモーター株式会社)を受賞しました。
4月後半から5月の間にテーマ発表があり、それに合わせて1年弱かけて製作から調整を行います。毎年、良い結果を残そうと全国の高専が日々、努力しています。
やはり、自分が在学する高専を一番に応援したいので、これからも大阪高専には頑張ってもらいたいです!
ロボコン2023ルール
ロボットは競技開始後、スタートゾーンを出てランゾーンを周回します。その後、上からぶら下がるフルーツを器用にS字フックから取り外し、機体のかごに落とします。
角材・ロープを工夫して乗り越え、自チームのスタートゾーンに一度戻った後、チームスタッフが集計用のフルーツかごに入れます。その後、センターゾーンに入ってポイントの高いフルーツを取るか、周りのフルーツスポットA、Bのフルーツを取るかを選びます。
フルーツをもぎ取った時点で一点、フルーツかごに移すとそれぞれのフルーツに定められた点数が加算されます。一度とったフルーツを落としてしまうと収穫した一点を失いますが、拾えば得点を復活させることができます。
ロボコン2023年の結果は…?
今年の高専ロボコンは、地区予選が10月1日から同月10月29日に行われ、予選から勝ち上がってきた全国の強豪たちの中から本大会の11月26日、優勝チームが決まりました。
2023年で36回目を迎えたロボコンですが、栄えある優勝は……我が校である大阪高専です!(嬉)
準優勝は熊本高専八代キャンパス、ロボコン大賞は長岡高専でした。
会場は東京・両国国技館で行われ、今年の競技テーマである、「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」という如何にもポップなお題で制作されたロボットたちは、機能だけでなくデザインも凝っている印象でした。
大阪高専のろぼっと俱楽部を調査
ろぼっと俱楽部 部室
これぞTHE・部室という雰囲気がしますね!!噂では早朝から夜遅くまで作業している人がいるのだとか…。
実際に部室にお邪魔し、大阪高専ろぼっと倶楽部の四年生で大会出場された方、現地で応援していた一年生にお話を伺いました。
大阪高専ろぼっと俱楽部の制作物
今年の協議課題「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」は、
「障害物を乗り越える」と「フルーツを収穫する」という二つのミッションからなるコースです。一つ目の障害はコースに置かれている角材でロボットの進行を阻みます。二つ目の障害物はロープゾーンで潜り抜ける際に着々と時間を奪います。
それでは早速、大阪高専のロボットがどのように乗り越えたかご紹介したいと思います!
高専ロボコン2023 全国大会の様子
上の写真は大阪高専ろぼっと俱楽部Aチームが制作した「鴉」です。
角材ゾーンは、動力を使っていない円形の車輪で車体を持ち上げ、角材の上に乗ったところを通常の駆動輪で進んで超えています。そして、ロープゾーンは、機体の上を滑らすようにして短時間でクリアしました。
また、一度取ったフルーツを落としてしまうと収穫した一点を失い、拾えば得点が復活するというルールを無駄なく活かすため、鴉には前輪部分にちりとりのようなものを付け、落としてしまったフルーツを書き集め、失点を防ぐという全チームで唯一の機能を搭載しています。
大阪高専ろぼっと俱楽部Aチームより、機体の説明と工夫した点
私たちは「優勝」という目標を掲げ活動してきました。
優勝をするために「相手より先に多くの点を取る」というコンセプトのもと
「圧倒的移動速度」,「相手よりも先にフルーツを獲得」を売りに大会へ出場しました。
1.圧倒的移動速度
ロボットのエラーが発生しづらくなるように、最もシンプルな方法で障害物越えをしました。さらに、ヒューマンエラー防止のため半自動制御を取り入れることで大会最速の周回速度を毎試合再現することができました。
2.相手よりも先にフルーツ獲得
相手を高得点ゾーンに入らせないようにしながら高得点フルーツの総取りが可能です。その他にも相手がとろうとしたフルーツに差し込んで自分たちが取るなどと空中戦を制すことができます。
ロボコンは何故人気なのか
既成概念にとらわれない学生たちの自由で突飛な発想で、ロボットを製作し、その過程でアイデアを生み出し、コンテストにチャレンジし続け、仲間と目標を達成する喜びを分かち合えることが、高専ロボコンの最大の魅力です。
また、高専生はものづくりが好きで、その中でも特にロボットを作ってみたいと思う人がロボコンを目指すため、自ずとレベルが高くなります。この繰り返しで現在までに全国の高専が、学校を上げて応援するため認知度が上がり次第に人気が出たのでしょう!
ロボコン優勝時の機体「鴉」
とてもかっこいいですね!このようなロボットを作れること自体とても憧れます!
ロボコン優勝を目指すろぼっと倶楽部ならではのやりがいとは
ろぼっと俱楽部4年生
「モノづくりに必要な技術を学びつつ、成長を常に感じられることがやりがいです。ろぼっと倶楽部には様々な分野の技術に興味のある人が集まるため、高いモチベーションでモノづくりに熱中することができる環境がそろっています。」
ろぼっと俱楽部1年生
「大会などで良い結果を残せると今までの努力が報われ、頑張ってよかったと思えます。」
ろぼっと俱楽部1年生
「高専だからこそのものづくりができ、より強いロボット、より強いチームになるよう自己研鑽をし続けることができます。 また、仲間たちと協力し、ロボコンという目標に向かって進むことができ、自分たちが作ったものを動かすことの楽しさを味わえます。そして大会までやり切った時に達成感を得られることも活動していて良かったと思える要素の一つです。」
どの部活動にも言えますが、一生懸命取り組めば取り組むほどやりがいを感じることができます!
ロボコン出場で得られるメリットとは⁉
ろぼっと俱楽部4年生
「高専ロボコンでは様々な要素に気を配りながら活動をしないとロボットができません。ルール分析・開発体制・予算管理・運営・他班とのコミュニケーション等、技術力だけでは解決しないことは多いです。しかし、そういった環境下でロボットを作る経験をすることで技術者としてのレベルが格段に向上していき、モノづくりがさらに面白くなっていきます。やはり、ロボコン出場のためには部員が一致団結し同じ目標を持って活動することが勝利に繋がるとわかります。」
ろぼっと俱楽部1年生
「まずは、高専でできることのほとんどができ、 自分たちがやりたいことができて楽しいという点です。低学年から同じ志を持った仲間とチームを組んで目標に取り組むという貴重な体験を得られます。未経験でも知識を得て成長することができ、1 年生から専門的なことを学べ、技術を身に着けられます。」
優勝した今年、ロボコン2024に向けての目標は?
ろぼっと俱楽部4年生
「2連覇を目指し、来年も優勝を取りに行きます!」
ろぼっと俱楽部1年生
「近畿地区優勝 → 全国2連覇!!(打倒奈良高専、和歌山高専)」
学校一同、とても応援しています!頑張れ!
これらを踏まえて
ろぼっと倶楽部は、博士号を持った工業系のスペシャリストの先生のアイデア、技術サポートも受けられるため、高専ならではの部活動だと言えます。ロボコン出場のために高専に入学してくる学生もいます!それほどまでに高専ロボコンは魅力的で誇り高いコンテストです!
今回はろぼっと倶楽部の協力のもと、高専ロボコン出場を目指し、日々、努力する学生の生の声を聞くことができました。体験入学や高専祭(高専の文化祭)に来られない方や、聞きたくても先輩に聞けない方等、このブログを見て少しでも参考になれば幸いです。
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