
はじめに
この記事では、国立高専と私立高専の違いと共通点を、受験生と保護者向けに紹介します。カリキュラム、学科の分け方、学費、サポート体制、入試の日程や方法など、進路選びで迷いやすいポイントを順番に解説します。
「国立と私立、どっちが上?」ではなく、「自分に合うのはどちらか」という視点で読んでみてください!
国立高専と私立高専の基本的な違いとは?
運営している母体と「高専」の定義
国立高専は国が税金で運営している学校です。
一方、私立高専は学校法人が独自に運営している学校で、イメージとしては私立高校に近い立ち位置です。
どちらも正式名称は「高等専門学校」であり、中学校卒業後の生徒に専門的な知識と技術を教え、実践的な技術者を育てることを目的にしています。
「国立=ちゃんとした学校、私立=ちょっと不安」というイメージはあまり当てはまらず、どちらも同じ“高専”として位置づけられています。
高等専門学校設置基準で決まっている共通点
文部科学省が定める「高等専門学校設置基準」によって、高専として名乗るためのルールが決まっています。
例えば、教育の目的、教員の配置、授業時間数など、学校としての“骨格”は国立でも私立でも共通です。
そのため、私立高専だからといって「高専っぽくない別物の学校」ということはありません。
ベースとなる部分は同じで、その上に学校ごとの特色が乗っているイメージを持つと分かりやすいです。
カリキュラムと学科構成の違い
国立高専:モデルコアカリキュラムに沿った学び
国立高専には「モデルコアカリキュラム」という全国共通の学びのベースがあります。
「機械ならここまでは必ず教えましょう」「電気ならこの範囲まで」という基準をもとに、各高専の先生が授業を設計しています。
そのため、「同じ学科なら、どの国立高専でもだいたい似た内容を学ぶ」と考えて大きなズレはありません。
転校や編入のしやすさ、学びの質をそろえることにもつながっています。
私立高専:英語・起業など特色あるカリキュラム
私立高専は、このモデルコアカリキュラムに従わなければならないわけではありません。
その分、英語に特化して全授業を英語で行う国際高専や、神山まるごと高専のようにテクノロジーと起業、デザインを組み合わせたカリキュラムを持つ学校が多いです。
もちろん、まったく別世界のことをやっているわけではなく、高専として必要な範囲はしっかり押さえたうえで、プラスアルファの色を出しているイメージです。
学科の分け方と「1学科制」の私立高専
国立高専は、機械工学科・電気情報工学科・建築学科…と複数の学科がある学校が多いです。
一方で、私立高専には「デザインエンジニアリング学科」など1学科のみで、その中でコース分けするスタイルも見られます。
学科を細かく分けるか、大きなテーマでまとめるかは学校ごとに異なります。
どちらが良い・悪いではなく、「入学後に専攻を変えたい可能性がある人はどうか」など、自分のタイプと合わせて考えるのがポイントです!

学費・奨学金の違いとお金の考え方
国立高専の学費の目安と奨学金制度
国立高専の学費は全国でほぼ共通です。
授業料の額は「高専5年間の学費はぶっちゃけいくら?」の記事で詳しく解説されている通り、大学と比べるとかなり抑えられています。
また、日本学生支援機構の奨学金や、各種財団の奨学金を利用することで、経済的な負担を軽くすることも可能です。
「お金が心配だから国立一択」にする前に、制度の有無もセットで確認しておくと安心です。
私立高専の学費と学費無料校・減免制度
私立高専は、国立に比べて学費が高くなる傾向があります。
その一方で、神山まるごと高専のように授業料を無料にしている学校もあり、企業からの支援や寄付などを工夫して運営しています。
他の私立高専でも、成績優秀者への授業料減免や、独自の奨学金制度を設けているケースがあります。
「最初の金額だけを見てあきらめる」のではなく、実質的な負担がどれくらいになるかまで確認することが大切です。
学費だけで判断しないためのチェックポイント
学費はとても大事なポイントですが、「学費が安いから国立」「高いから私立はナシ」と単純に決めてしまうと、ミスマッチにつながることもあります。
通学か寮か、アルバイトはできそうか、卒業後にどんな進路を取りたいかも含めて、お金の話を家族で早めにしておくのがおすすめです。
サポート体制と進路の違い
私立高専の少人数・全寮制と生活サポート
私立高専は、そもそもの学生数が少ない学校が多く、1クラスあたりの人数もコンパクトです。
そのぶん、学習面のフォローや、寮での生活サポートを手厚く行っている学校が目立ちます。
全寮制の学校では、15歳から親元を離れて暮らすことになるため、不安も大きい一方で、自立心や仲間意識が育ちやすい環境でもあります。
国立・私立それぞれの就職・進学・起業ルート
国立高専は、従来から就職・大学編入ともに強力なルートを持っており、就職率も非常に高いです。
私立高専はそれに加えて、近畿大学への内部進学ルートや、「起業」を卒業後の選択肢として積極的に推している学校もあります。
「大学編入を目指したい」「とにかく就職したい」「将来は起業も視野に入れている」など、やりたいことに合わせて、高専を選ぶ時代になってきています。
保護者が気になる「15歳からの寮生活」
寮生活は、親御さんにとっては特に心配になりやすいポイントです。
門限やスマホのルール、食事・体調管理のサポート体制、トラブルがあったときの対応などは、学校ごとにかなり違います。
オープンキャンパスや説明会では、寮の様子やルールについても、必ず質問しておくと安心です。
入試日程・受験方法の違いを押さえよう
国立高専入試の日程と基本ルール
国立高専の学力入試は、全国同じ日・同じ問題で行われます。
そのため、「国立高専は1校しか受けられない」というのが大きな特徴です。
推薦入試の日程は高専ごとに異なりますが、いずれも普通高校より早めに行われます。
私立高専入試の日程パターンと併願の組み方
私立高専の入試は、A日程・B日程のように複数回行われることが多く、日程も学校ごとにバラバラです。 そのため、国立高専と日程が重ならないように組めば、「国立+私立高専」を併願することが可能です。
「どうしても高専生になりたい」という人は、私立高専も選択肢に入れることで合格のチャンスを増やすことができます。
私立高専の入試科目と対策のポイント
私立高専は、学校によって入試科目や形式がかなり異なります。
科目を絞った学力試験、面接や作文重視、模試の成績提出など、さまざまなパターンがあります。
ただ、国立高専の入試問題レベルをしっかり解ける力があれば、ほとんどの私立高専の学力試験には十分対応できます。
そのうえで、志望校ごとの傾向を調べ、追加で対策するイメージがよいでしょう。
国立高専と私立高専、どちらが向いている?
こんな受験生は国立高専向き
- 学費をできるだけ抑えたい
- なるべく全国で共通したカリキュラムで学びたい
- 大学編入や就職を、オーソドックスなルートで目指したい
こういった人は、まず国立高専を軸に考えつつ、必要に応じて私立も併願する形が向いています。
こんな受験生は私立高専向き
- 英語や海外、起業など、特定のテーマに強い関心がある
- 少人数で、先生との距離が近い環境で学びたい
- 寮生活で早く自立したい、仲間と深く関わりたい
私立高専は、良くも悪くも「学校ごとの色」が強いので、パンフレットだけでなく、説明会やオープンキャンパスで雰囲気を確認することが重要です。
親子で話し合いたい「進学の軸」の決め方
国立か私立かを決める前に、「どこで」「何を」「どんな雰囲気で」「将来どうなりたいか」という4つの軸を親子で話し合ってみてください。
この軸がはっきりしているほど、「うちの子にはこの高専が合いそう」というイメージがつかみやすくなります。
無料勉強相談って??
「高専に行ってみたいけど、勉強についていけるか心配…」、「受験対策は何から始めればいいの?」と不安に感じている方もいるかもしれません。そんな方のために、高専入試に特化した学習塾・ナレッジスターでは無料の勉強相談を実施しています。高専受験のプロである講師陣が、一人ひとりの状況に合わせてアドバイスしますので、安心してご相談ください。あなたもナレッジスターと一緒に、高専合格への一歩を踏み出してみませんか?きっと夢への道筋が見えてくるはずです!
まとめ:国立高専も私立高専も「高専」は高専です。
国立高専と私立高専には、運営母体や学費、カリキュラム、入試制度などの違いがあります。
一方で、「中学生から専門的な技術を学び、実践的な技術者を育てる」というゴールは共通です。
違いを「不安のタネ」にするのではなく、「自分に合った環境を選ぶための材料」として活用してもらえたらうれしいです。
Q&A:国立高専と私立高専に関するよくある質問
Q1. 難易度は国立高専のほうが高いですか?
A. 一般的には国立高専のほうが偏差値は高めですが、実際の難しさは「倍率」にも左右されます。
Q2. 私立高専でも、国立高専と同じように就職できますか?
A. 就職率は私立でも高く、大学との連携や独自ルートを持つ学校もあります。学校ごとの企業連携や進路実績を必ずチェックしましょう。
Q3. 私立高専の学費が不安です。どう考えればいいですか?
A. 学費の額だけでなく、奨学金・減免制度、寮費、通学費なども含めてトータルで考えることが大切です。

ライター情報
仙台高専マテリアル環境コースを卒業。
ニックネーム:nao
研究室では化学を専攻。コガネムシの研究をしていました。
趣味は野球観戦。楽天イーグルスを応援している仙台っ子です。









