高専の”意外”なメリットとデメリットを現役高専生が解説!

高専とはまだ知名度も高くなく、通っていない人からすると謎の多い学校なのではないでしょうか。そんな高専に現在通う筆者が、高専に通っていて実際に感じたメリットとデメリットを解説していこうと思います。


この記事で知れること
  • 高専とはどんな学校?
  • 高専と普通高校ってどんな違いがある?
  • 高専生のメリットは?
  • 高専生のデメリットは?
  • 高専生になるためにぜひおすすめしたいもの!

高専とは何か

はじめに、高専とは高等専門学校の略称です。文部科学省によると、「高等専門学校は実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。」との説明がある通り、高専とはズバリ技術者の育成に力を入れている学校です。

実際に通っている筆者自身も、設備・学習環境の充実は随一だと感じています。そんな高専について、変わった特徴を普通高校と比較して紹介していこうと思います。

高専と普通高校との違い

高専は5年制

基本的に、高専は卒業まで5年間かかります。中学卒業と同時に入学し、高校生と同じ3年間に加えてさらに2年間通う必要があります。

低学年であるはじめの3年間では、専門科目を学ぶ上で欠かせない基礎知識を時間をかけて学びます。また数学については特に重点的に学ぶようになります。高学年の2年間は、各研究室に配属されたり、専門教科をより深く追求していくようになります。

専門科目を多く学べる

なんといっても高専は技術者を育成する学校であるため、専門科目については多くの分野を学ぶことができます。例えば、機械システム工学科(福島高専)では材料系から流体系、加えて電気系の知識も多く学ぶことができます。学科の系統に沿って、必要になる知識を一通り学ぶことができるのが大きな特長です。

高専は就職率100%

高専は企業からの高等教育機関としての信頼が非常に厚く、卒業生の就職率は100%と圧倒的な数字を誇ります。常に企業からの需要が高く、卒業後は仕事に困ることがありません。

より詳しい高専と工業高校や普通高校との違いをナレッジスターのブログでまとめているので、気になった方はぜひこちらのページをご覧ください。

高専生のメリット

高専生は学割がいろんなところで使える

実は、高専生は大学生向けのサービスを利用できることも多く、高校生と同じ年齢であっても大学生向けの学割サービスが利用できたりします。その理由は、高専は普通高校のような中等教育機関ではなく、大学のような高等教育機関に当たるためです。

例えば、YouTube PremiumやApple Musicなどのサブスクリプションは学割に学校のID・メールアドレスなどが必要になりますが、高専生には入学と同時に学校指定のドメインを持つメールアドレスが配布されるので、それを入力することで学割の申請が受理されます。また、筆者が実際にサブスクリプションを利用していた時は、低学年の学生証の写真を提出することでも同様に利用できました。低学年であっても正式に学割の恩恵が受けられます。

趣味でお金を消費しがちな高専生のお財布に優しい学割事情は、知っておいて損がないでしょう。

高専は資格取得に取り組みやすい

高専では、資格取得のしやすい環境が整っています。特に、図書館には各学科の専門科目に関する資格のテキストや、英語の様々な資格対策のテキストが数多く置いてあります。単位認定が通らないような資格であっても、図書館棟にはテキストがあることも非常に多いです。

その中でも個人的に嬉しかったものは、TOEICの公式問題集を全編借りることができる点です。TOEICの公式問題集は1冊にテスト2回分が収録されていますが、1冊3,300円(Amazon:2023/8/24時点)と何年分も買うには少し気が引ける値段です。高専生であれば、すべての公式問題集を無料で借りることができるのでぜひ利用したいですね。また、TOEICは点数が良ければ良いほど単位認定での単位数が増えるので、より意欲的に取り組めるのではないでしょうか。

高専の長期休暇の長さ

高専は大学生と同じように、夏季休業・春季休業がとても長いのが特徴です。福島高専は、2023年度の年間予定表によると夏季休業が42日、春季休業が45日程度となります。

この休業期間に自分がやりたい勉強をするのも良し、普段の学業から離れてバカンスでリフレッシュするもよし、多くの時間を自分のために使うことができます。この期間に短期留学できるプログラムも少なくないので、学生のうちから海外経験を積みたい人にも嬉しいですね。遠方に行ってリゾートバイトをしたりもできるくらい余裕があるので、休息であれ勉学であれ充実させることができれば有意義な長期休暇が過ごせること間違いなしです。

大学受験に追われずに自分のペースを大事にできる

高専生は、大学受験に追われることがありません。卒業までの5年間で自分の進路をゆっくり考え、大学編入するのか、就職するのか、それともまた他の道に進むのか決める時間があります。その間でインターンシップや企業研究を重ねることで就職するイメージを大きくしていくこともできますし、自分の興味がある研究分野について勉強を重ね、進学に向けて日々研鑽していくこともできます。

高専のほとんどが前期後期制(2学期制)を採用しており、テストの頻度もそう多くありませんので、自分の将来について考える時間は十分に用意されているといえます。また、日々の勉強でも時間に追われることはそうそうありません。高専で授業を受けるうえでの本質は、受験のための勉強ではなく自分のレベルアップのための勉強です。高専にいる間に沢山の先生方に頼りながら知識を身に着けることができます。

こういった時間的余裕がある点は、他の学校と比べても大きなメリットとなるのではないでしょうか。

高専は校則が緩い

高専の特徴の中でも有名な点として多く挙げられる校則の緩さですが、これもメリットの一つではないでしょうか。

実は筆者が通っていた福島高専は全国の高専の中でも数少ない校則が多い高専でした。低学年の間は染髪・ピアス禁止や制服での登校が校則で決められていましたが、高学年になると私服登校や髪色自由など緩くなるという方式でした。しかし、他高専では制服が珍しく、低学年であっても髪色自由・ピアス可ということをよく聞きます。また、福島高専の歴史は長く、古い時代からの校則も多いため、校則を変えたいと言ってくれる先生方も少なくありません。

こういう背景から、近いうちに校則が変わる可能性も大きいです。そういった校則に縛られない自由な校風は、学生の過ごしやすさをさらに助長してくれます。

高専生はOfficeが無料で利用できる

何気にこのメリットは一番重宝されるべきかもしれません。高専生になるとMicrosoft Officeにログインできるアカウントが配布され、卒業まで無料で使用することができます。高校生の間から、Word、Excel、PowerPointを授業で使う機会がたくさん用意されているので、在学中でも企業で即戦力となり得る実力をつけられます。

また、OneDriveは1人2TBも用意されており、3DCADなど専門のアプリによる莫大なデータ量のファイルや複数の教科の課題を圧迫されることなく自分のOneDriveに保存できます。それに加えて、先生方との連絡は基本OutlookやTeamsでのチャットを利用するので、ビジネスマナーに近い丁寧で礼儀を重んじた連絡の取り方が身に付くようになったり、ファイルの送受信や沢山のやり取りの中で情報リテラシーまでも身に付きます。

入学直後から情報モラルやOfficeアプリ各種の使い方について先生方から教えてもらえますので、安心してOfficeを使うことができます。他の学校では受けることのできない先進的な教育の一つであり、非常に大きなメリットですね。

高専生のデメリット

高専では授業の進みが早く課題が多い

高専では4年制大学卒業と同じレベルの専門知識が得られる学校として謳っており、授業の進みが早いです。正直大変です。

また課題が出される頻度も高く、高専内ではレポートに追われて疲労している学生が度々見られます。そのおかげで課題を計画的に進める習慣が身に付く人も多く、デメリットばかりではありません。しかし、学生にとって数少ないデメリットとして知っておいた方が良いでしょう。

高専卒は大卒とは違う

高専卒で社会に出ると、企業によって待遇に差があることが多々見られます。当然ですが高専卒は大卒とは2年間のギャップがあり、企業によって、待遇が異なります。中には高卒との給料の差がわずかであるところもあるそうです。

入社後の昇格・昇給が変わってくることが多いとは思いますが、卒業後就職を考える人は企業ごとの高専卒の扱いがどのようであるのかをしっかりと調べる必要がありますね。しかし、高専卒からの進路は就職だけでなく進学もあります。気になる方はそちらも視野にいれてみてはどうでしょうか。

まとめ

現役高専生の視点からの高専生のメリット・デメリットを思いつく限り解説してみました。高専という学校はとても特徴的で異質に感じるかもしれませんが、通ってみるとその環境の良さを至る所で実感できるのではないかと思います。理系を志す中学生にはぜひ一度近くの高専への見学をおすすめしたいです。

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