今回は、高専入試と公立入試の違い、またそれらの入試のための勉強方法の違いについて、現役高専生が解説していきます。
公立高校の入試方法は大体の人がご存知の通り、5教科の学力入試です。高専入試は少し特殊なので軽く説明します。
高専ってどんなところ?
殆どが工業系で、理系学生が多く集まる、中学校卒業から20歳までの5年制の高等教育機関です。
詳しくは本サイトの別ブログで紹介しておりますので、併せてご覧ください。
入試形式の違い
高専にはいくつかの入試方法があり、仕組みだけで分類すると私立高校入試に近いです。以下が高専入試の選抜方法になります。
学力選抜
どの高専も必ず学力試験を実施します。高専によっては理数科目(数学、理科、技術)+英語などの点数を1.5倍等に科目別の重み付けを行う学校もあります。また、高専の学力試験は全国共通でマークシート方式です。
推薦入試
推薦・特別選抜は中学の時の成績を合算して、一定の基準を満たした生徒しか受験資格を貰えません。入試内容は各高専によって異なり、小論文、面接、作文、数学・理科・英語のみの試験、など様々です。
帰国子女特別選抜
ほとんどの高専が帰国子女のための試験も用意しており、試験方法は学力試験、面接、作文とそれぞれ異なります。募集人数は若干数と少なく、こちらのブログで詳しく解説しておりますので併せてご覧ください。
推薦入試の種類や高専入試までにすべきことなどは別ブログでまとめておりますので、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
今回は、特に実施する高専が多い小論文と面接の対処法をご説明します。
科目の違い
◆高専学力入試:「数学」「理科」「英語」が特に重視されます。これら3科目の配点が高く、理系の知識や応用力が試される問題が多いです。「国語」や「社会」の文系科目も出題されますが、理系科目ほどウェイトは重くありません。
◆普通高校入試:「国語」「数学」「英語」「理科」「社会」の5教科がバランスよく出題されます。普通科では特定の科目に偏らず、全科目で安定した成績が求められます。理数科、英語科などはそれぞれ特化した教科の重み付けを行う高校もあります。
それぞれの最適な勉強法とは⁉
高専学力入試の効率的な勉強法
重点科目:「数学」「理科」「英語」
高専学力入試では、この3教科に重点を置く必要がありますが、特に「数学」と「理科」が重要です。基本、毎年問題の雰囲気は同じなので軽く出題傾向を挙げていきます。
数学
教科書レベルの基礎を終えたら、応用問題や過去問に挑戦し、思考力を鍛えましょう。特に関数、図形の問題は高専入試で頻出です。時間内に問題を解けるように、タイマーを使って問題演習を行いましょう。反復練習で解答スピードを向上させることが大切です。
近年は大問4つ構成で、大問1は小問集合で40点分あるため、高専志望者なら落としたくない問題です。大問2.3.4はコンセプトのある分野別の問題です。大問2に関しては、関数もしくは関数+図形の問題が出題されやすいです。3.4は平面図形または空間図形がシャッフルで出題されます。
難易度としては都道府県にもよりますが、普通高校よりも全体的に高いです。出題内容としては中学3年生後半で学ぶ内容に偏っています。
理科
高専の理科では、実験に基づいた問題や計算問題がよく出題されます。過去問や問題集を使って、実験や計算の流れを確実に理解しましょう。また、高専では応用問題が多く出るため、公式を覚えるだけでなく、応用力を身につけましょう。特に物理の運動や力学、化学の化学反応式や計算問題に重点を置いて勉強しましょう。
得意な分野を伸ばすより、苦手な分野を克服した方が点数は高くなります。解ける問題と解けない問題の見極めと、切り捨てるのか、考えるのか、後回しにするのかの判断力も必要です。冊子20ページ近くある問題を50分で解くことは焦りとの戦いです。暗記か計算かの見極めと瞬発力が重要になります。
とにかく演習を繰り返して問題に慣れ、ペース配分を上手にできるようになりましょう。理科は様々な分野から問題が出るため、周辺知識まで押さえておくと本来解けなかった問題でも応用が利き、解けるチャンスが増えます。
英語
英語では長文読解が多く出題されるため、英文を早く正確に読む練習が必要です。速読のトレーニングを行い、要点を把握できる力を鍛えましょう。基礎的な文法問題をしっかり解けるようにし、英単語や熟語も日々の学習に取り入れましょう。特に出題されやすい重要単語を覚えておくと良いです。
序盤は、文章にしたときに違和感のない単語を4つの選択肢から選び、完全な文を組み立てていく問題で、日常会話程度のレベルの問題が出題されます。続いて文章の3番目と5番目にくる単語の記号を選ぶ語順整序の後、短めの長文読解で適語補充で長文読解+表から読み取る力が試されます。その際、高専ならではの英語で資料を読み取る計算問題が併せて出題されます。ただ英文を理解するのではなく情報の整理能力も問われます。最後の問題は、長文読解か、短めの文章の読み取りか、その年によって変わります。
全体の内容はそこまで難しい問題ではありませんが、必ず一度は解いておくべきです。また、リスニングがないため苦手な方にとって負担が減ると思います。出題方式として、すべてマークシートのため、適語補充か語順整序か選択問題、内容真偽のいずれかです。英語が得意な方であれば9割以上狙いやすい問題となっています。
学習時意識すべきポイント
数学
理科
英語
以上が高専を受験する際に心に留めておいて欲しいポイントになります。
高専を受験したいと考えている方は以下のブログも併せてご覧ください。
高専特別選抜入試(推薦入試)の効率的な勉強法
重点科目:面接対策、小論文
特別選抜入試では、学力だけでなく、自己アピール力や面接での受け答えが重視されます。
面接対策
高専で学びたいことや将来の目標を明確にし、自分の言葉で説明できるようにしましょう。自分がどうして高専を選んだのか、技術分野への興味を具体的に伝えることが大切です。
また、家族や友人に協力してもらい、模擬面接を繰り返し行いましょう。質問に対して、焦らず落ち着いて答える練習をすることが重要です。
小論文対策
小論文は、論理的で説得力のある構成が求められます。序論、本論、結論の三部構成を意識して、文章を書く練習を繰り返しましょう。
また、技術や科学に関するニュースやトピックを調べ、それについて自分の意見をまとめる練習をしておくと、説得力のある内容が書けます。
推薦入試を実施する高専の一覧や、心掛けておくべきことをまとめましたので、こちらも是非ご覧ください。
普通高校入試の効率的な勉強法
重点科目:「国語」「数学」「英語」「理科」「社会」
普通高校の入試では5教科をバランスよく勉強する必要があります。
国語
現代文では、文章の要点を掴み、設問に的確に答える力が求められます。過去問や読解問題集を使って、要点を見つける練習をしましょう。基本的な漢字や文法問題も多く出題されるため、反復して覚えていくことが重要です。
数学
基礎問題を確実に解けるようにし、その後応用問題に挑戦しましょう。特に方程式や図形の問題に重点を置き、効率的に進めることが大切です。一度に長時間勉強するよりも、毎日継続的に問題を解くことで力がつきます。
英語
文法の徹底理解: 英語は文法問題が多く出るため、基礎的な文法事項をしっかり押さえましょう。また、長文読解の練習も欠かせません。リスニングも重要なポイントです。リスニング教材を使い、耳を慣らしておきましょう。
理科・社会
理科と社会は、用語や概念を暗記することが必要です。教科書や参考書の要点をまとめ、効率的に覚えましょう。過去問を解きながら、自分が苦手な分野を把握し、集中的に復習しましょう。問題傾向としては高専入試に近いかもしれません。効率的な学習のための共通ポイント
やはり、普通高校でも高専でも、効率の良い学習スケジュールを組んで限られた時間を有意義に使いたいですよね。また、グダグダ勉強するよりも「〇時間集中する!」と決めた方がモチベーションも高くなり勉強に身が入ります。高専入試は特に過去問が全国共通で、ネットでも簡単に手に入れることが可能なので、是非取り組んでみてください!
以上が普通高校と高専の入試別の違いの紹介になります。まだどちらを受けようか迷っている方の参考になれば嬉しいです。このブログでは簡単にしか説明できませんでしたが、他の記事でも詳しく書いておりますので、そちらも見ていただけるとわかりやすいかも知れません。
今回、取り上げた内容が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。応援しています!
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ライター情報
所属高専::阪公立大学工業高等専門学校
学科:総合工学システム学科 エレクトロニクスコース
氏名:大原佳蓮
ニックネーム:かれん
自己紹介:高専2年生のひよっこライター。特技は人前で緊張せず話せること。高専のことについて皆さんが知りたい有益な情報などを調査・勉強中です。